育成に時間とエネルギーをかける
「50%の時間とエネルギーを育成に使う」と高田さんは説いている。
育てることは勝つための方法だから、自分がビジネスへ直接に貢献することと合いまって、結局は一つのことになるという。
本書の考え方の基本にある「Demand and Care」という概念は、高田さんがかつて在職したP&Gジャパンの当時の社長Ravi Chaturvedi氏が強調していたことだという。
本書は、同社で引き継がれてきたノウハウを高田さんがさらに整理し、ブラッシュアップしたものだ。ここまで精緻に社員の人材育成をマニュアル化していることに驚いた。社員研修とは名ばかりで、部下をあまり育てることに熱心ではなかった日本の企業との考え方の違いは大きい。
「放任主義」を公言し、「部下は勝手に育つものだ」と言っている上司も少なくないのではないだろうか。彼らにはもしかしたら、部下を育てる気などないのかもしれない。
そんな上司に当たったら、どうするのか? 本書を参考に自分の組織の業務について書き出し、自分で自分の仕事や役割を考え、行動するしかない。
先日、紹介した「テレワークで部下を育てる」(青春出版社)でも、部下に目標を達成させるまでの道筋をデザインする、チームを育て組織の成果を最大化する仕掛けを作るなどのノウハウが紹介されていた。
テレワークだからこそ、部下がぐんぐん育つ方策もあるという。プレイヤーとして実績を挙げてきた人にこそ、読んでもらいたい一冊だ。部下の育成はマネジメントの基本でもある。
「上司力強化マニュアル」
高田誠著
リーダーズノート出版
1600円(税別)