「テクノキング」になったテスラCEOの次なる関心?

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CFOには「マスター・オブ・コイン」の肩書き

   そのマスク氏の次の関心は、「テクノキング」の肩書きに合わせて届け出たテスラの別の役員の新たな肩書きから透けて見える。ザック・カークホーン最高財務責任者(CFO)の肩書きに加わった「マスター・オブ・コイン」だ。

   テスラは2021年2月、保有する現金を使って、代表的な暗号資産(仮想通貨)であるビットコインに15億ドル(約1640億円)を投資したと公表。まずは米国でテスラのEVをビットコインで購入できるようにした。

   米国では2020年に一部の金融機関でビットコインを金融資産として扱う動きが広がっていたものの、事業会社がこれほどの規模で乗り出すのは異例。「マスター・オブ・コイン」の肩書きには、ドルなどの法定通貨に基づく既存の考え方を超越したマスク氏の発想があるのかもしれない。

   そんな「絶好調」のマスク氏とテスラにとって、今後の死角となりそうなのが、米国と中国の関係悪化だ。テスラが上海にEV工場を建設する際には、外国自動車メーカーとして初めて単独出資の現地法人の設立が認められ、市場開放をアピールしたい中国側から優遇されていた。

   この上海工場の順調な立ち上がりがテスラ躍進の原動力にもなっているが、米バイデン政権が中国に示している強硬姿勢を背景に、中国でテスラへの風向きが怪しくなってきている。中国政府が軍など機密情報を扱う部門に対して、周囲を撮影する機能があるテスラ車の使用を制限しているとの報道もあり、今後もさまざまな理由をつけて中国政府がテスラ車に規制を設ければ、最大市場での売り上げは失速しかねない。

   「天才」が中国とどうやって渡り合うかも注目だ。(ジャーナリスト 済田経夫)

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