福島の「ゼロエフ」はどこにある? 出身作家が360キロ歩いたノンフィクション

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100年後のために活動する社会学者

   福島県出身の社会学者、開沼博さんにも楢葉町で会う。福島をめぐる言説に基本ルールをつくろうと「はじめての福島学」などの本を出している人だ。

   やがて報道が福島を追わなくなると、ネガティブなイメージ、風評被害だけが残ることを懸念している。「百年後に残ることは何か?」を意識して動いているという。

「いまから本番だ、とは思います。さっきも言いましたが、報道機関にはもうネタはないですし。そろそろ本当の戦がスタートしますね」

   開沼さんの言葉をかみしめ、福島の今後を見つづけるしかない、と思った。

   さて、「ゼロエフ」である。イチエフ、ニエフがあり、浪江町と小高町(現・南相馬市)にまたがるエリアには東北電力の「浪江・小高原発」計画がかつてあり、古川さんは仮にそれを「サンエフ」と呼んだ。ならば、ゼロエフはあると。「しかし、どこに?」。それを探す旅でもあった。(渡辺淳悦)

「ゼロエフ」
古川日出男著
講談社
1800円(税別)

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