トルコ、エルドアン大統領の「すべてを台無し」にした暴挙(志摩力男)

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トルコリラを買うのはやめたほうがいい

   トルコリラの今後の展開はどうなるのでしょう――。

   アーバル氏の、通貨価値を守る引き締め路線が否定された以上、後任のカブジュオール新総裁は段階的に金融緩和を進めることになりそうです。そうなると、当然トルコリラの値段は下がっていきます。1トルコリラ=12円前後から15.25円まで戻したのですが、また12円方向に逆戻りするでしょう。

   しかも、12円で落ち着くかどうかわかりません。今回の中銀総裁の交代で、多くの投資家は、トルコへの投資に伴うリスクを実感したはずです。エルドアン大統領自身が招いた暴挙のツケは、簡単には終わらないでしょう。

   トルコは経常収支が常に赤字の国。しかも、通貨防衛のカギとなる外貨準備が極端に少ないのです。為替スワップの片側だけを評価するやり方で、実際の外貨準備の金額を多く見せているとの噂もあります。

   経常収支が赤字で外貨準備の足りない国が、金利を引き締める以外にどうやって通貨価値を守ることができるのでしょうか。

   究極的には、1トルコリラ=12円も割れ、心理的なサポートである10円を目指す展開になるのではないでしょうか。しばらく、トルコリラを買うのはやめたほうがいいでしょう。

(志摩力男)

志摩力男(しま・りきお)
トレーダー
慶応大学経済学部卒。ゴールドマン・サックス、ドイツ証券など大手金融機関でプロップトレーダー、その後香港でマクロヘッジファンドマネジャー。独立後も、世界各地の有力トレーダーと交流し、現役トレーダーとして活躍中。
最近はトレーディング以外にも、メルマガやセミナー、講演会などで個人投資家をサポートする活動を開始。週刊東洋経済やマネーポストなど、ビジネス・マネー関連メディアにも寄稿する。
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