DeNA南場智子氏、「初の女性副会長」誕生でも問われる経団連の多様性への本気度

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大企業の現実は女性社長が皆無の「ザ・男社会」

   こうした大企業こそは戦後日本の経済成長を支える中で、男性の「モーレツ社員」が出世競争にしのぎを削り、女性は家事に専念して夫を支える、といった古めかしい価値観に基づいて、つい最近まで組織を運営してきた。

   それゆえ、こうした大企業ではまだまだ女性の役員は珍しく、女性社長は皆無だ。副会長の常連企業に「有資格者」が誕生するには、まだまだ年月を必要とする――。そこで、「人ありき」で南場氏に白羽の矢が立ったのだ。DeNAが経団連に入会したのは2021年3月1日付で、南場氏が副会長に内定する直前だった。

   DeNA のようなITベンチャーには、ロビー活動とは無縁の世界で自ら道を切り開いてきた企業が多い。ただ、IT業界の存在感が高まるにつれて、楽天を起業した三木谷浩史氏らが2010年に設立した「新経済連盟」のように、政府に対して発言力を強める動きも起きている。2007年から東証1部銘柄となったDeNAは、2012年シーズンからはプロ野球球団のオーナーにもなっており、社会的責任を果たす役割を期待される企業になりつつあるタイミングでもあった。

   南場氏は困難さを承知で踏み出す「ファーストペンギン」として、男性社会の象徴的な存在だった財界に風穴を開けるのか。人材の多様性を企業の成長に結び付けようとしている経団連の本気度が問われてくる。(ジャーナリスト 済田経夫)

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