子供が大きくなると、同学年の子をもつ親同士の会話も教育の話題が多くなる。先立って何気ない会話の中で、ぼくが「そうそう。来年からは高校の家庭科の教科書にも資産形成が追加されるぐらいなんで時代は変わりましたね~」と言うと、目が点になっていた。
そう。知らないのだ。でも、これからの時代を生きていく子供たちにとって必要不可欠なのが「資産形成」の知識だと思う。
なぜ資産形成の知識が必要なのか?
2018(平成30)年告示の文部科学省の高等学校学習指導要領解説【家庭編】の内容を見ると、以下のような記述がある。
「家計管理については、収支バランスの重要性とともに、リスク管理も踏まえた家計管理 の基本について理解できるようにする。その際、生涯を見通した経済計画を立てるには、教育資金、住宅取得、老後の備えの他にも、事故や病気、失業などリスクへの対応が必要であることを取り上げ、預貯金、民間保険、株式、債券、投資信託等の基本的な金融商品の特徴(メリット、デメリット)、資産形成の視点にも触れるようにする」
投資信託についての記述があるから、「つみたてNISA」の制度についても触れられるだろう。
高校教育において少しでも「資産形成」について触れられることの意義は大きい。なぜなら国として未来を担う子供たちに、「これからの時代には資産形成が必要なんだよ」というメッセージを伝えることになるからだ。
では、なぜ子供たちが生きていく日本では資産形成が必要なのか?
答えは簡単だ。大人になって、会社に入って毎月もらうお給料だけで豊かな暮らしができる時代は終わったからだ。
社会人になって働くと気づくことだが、基本給から引かれる所得税や住民税といった税金、年金や健康保険料などの社会保険料がボディブローのように効いてくる。初任給が22万円なら、ざっくり手取りは17万6000円ほどだ。
なぜ4万4000円も引かれるかというと、日本で生きていくには20%ほどの「手数料」がかかるからだ。税金として吸い上げたお金で国は成り立っている。病院で保険証を提示すると安くお医者さんに診てもらえるのも、あらかじめ「手数料」を払っているからだ。