「故郷の未来をあきらめたくない」という若い世代の声
避難先でがんばる人たちがいる。大熊町から転々と福島県内の避難先を移り、2019年にいわき市に居酒屋を出した秋本浩志さん。今まで会うことのなかった人たちとも知り合うことができたという。震災後にいわきに移り住んだ同郷の人、他県から来た人など、たくさんの人との出会いが心の支えになっている。
「震災後に社労士の資格も取得して開業しました。今後もしっかりいわきに根をおろし、二足のわらじで頑張っていきたいと思っています」
避難先から住民がなかなか戻って来ないことが行政の課題とされているが、秋本さんのように避難先にすっかり根を張り、新たな仕事と生活を始めている人がいることを知り、ほっとする人も少なくないはずだ。
若い世代の声も集めている。新潟大学理学部物理学科2年生の遠藤瞭さんは、広野町に開校した福島県立ふたば未来学園高校の2期生。高校の未来創造探求の授業では、「廃炉に向けた合意形成」をテーマに研究した。
ドイツなど数回の海外研修を含めて原発について考えたという。卒業後ももっと原子力について勉強しようと大学は理学部を選んだ。「故郷の未来をあきらめたくない。廃炉の実現に向かっていく」と語る。
また、福島県立ふたば未来学園高校を平成31(2019)年に卒業した、志賀瑚々呂さんと鶴飼夢姫さんは、現在大学1年生と専門学校1年生。未来創造探求の授業では、「双葉郡の漁業の風評被害の払拭」をテーマに研究した。
地元の木戸川産のサケを使ったフレークを商品化した。「この鮭フレークから双葉郡の漁業再生を感じてもらえたらと思います」と話している。