米、仏、中、韓、タイの5か国民の7割が開催反対
今回の「海外客断念」の決定は多くの海外メディアが速報した。ニューヨーク・タイムズ電子版(3月20日付)は「Overseas spectators are barred from the Tokyo Olympics」(東京五輪が海外の観客を禁止)という見出しで、
「新型コロナウイルスの世界的な流行という現実を前に大きな譲歩を強いられた。しかし、大会開催への日本国民の不安は根強い。今回の決定が日本国民の懸念を和らげることはないだろう」
と指摘した=写真参照。
しかし、海外の一般国民の東京五輪への関心は非常に低く、また、「開催すべきではない」という反対論も強い。
時事通信(3月20日)「米、五輪を忘れていた 東京五輪・海外反響」がやっと、3月20日に発生した東北の地震(最大震度5強)のニュースで東京五輪を「思いだした」という米国民の実情を、こう伝えている。
「新型コロナ大流行で死者・感染者とも世界最多の米国では依然、五輪を楽しみに待つという雰囲気ではないようだ。米国では日本メディアを引用する形で今回の(海外客断念)方針が事前に報じられた。ただ、会計士の黒人男性(24)は『正直、五輪を忘れていた』と苦笑い。ドアマンの白人男性(30)は『今は1カ所に集まるのは安全じゃない』と理解を示し、『中止か再延期したほうがいい』と話した。決定は米国の土曜早朝だったが、AP通信はこの決定直前に宮城県沖で起きた地震にも触れ、日本で地震が多いことを『思い出させた』と報じた」
そんななか、公益財団法人「新聞通信調査会」が3月20日、日本と関係の深い5か国の各1000人に東京五輪・パラリンピック開催の是非について行った世論調査を発表した。
米国、フランス、中国、韓国、タイの5か国で行った調査では、「東京五輪・パラを中止・延期すべきだ」と答えた人が、すべての国で7割を超えた=図表参照。
最高はタイの95.6%で、韓国が94.7%で続いた。中国は82.1%で、米国は74.4%、フランスは70.6%だった。「開催すべきだ」と答えた人は最も高いフランスでも25.8%で、米国は24.5%、中国は17.9%だった。タイは4.4%、韓国は3%にとどまった。
ちなみに日本では、最新の朝日新聞(3月22日付)の世論調査では「開催する」が27%にとどまった。「中止する」が33%、「延期する」が36%で、合わせて69%が今夏の開催に反対だった。
このまま、何の波乱もなく「東京五輪」が開催されると、どれだけ多くの人が思っているだろうか。
(福田和郎)