休廃業・解散が高水準に
2020年の仏具小売業の倒産は、前年より1件増え7件。2018年から3年連続で増加した。仏具小売りの倒産は、2007年に13件を記録するなど、2000年代には10件超の年が数回あり一服感の指摘もあるが、東京商工リサーチによれば、休廃業・解散は2018年以降、高水準をたどっている。
年20件超で推移しており、「コロナ禍で大人数の葬儀や法要の自粛で、当分は業績回復が見込めず、業績不振と代表者の高齢化などで休廃業はさらに増える可能性が高い」という。
仏具小売業の売上規模別の内訳は、1億円未満が102社(67.1%)、1~5億円未満が36社(23.6%)、5~10億円未満が7社(4.6%)で、売上高10億円未満の零細・中小事業者が95%以上を占める。売上高10億円以上の大手7社の売り上げの合計は、2020年8月期で359億500万円に達し、7社で全体(152社)の69.6%と約7割を占め、大手の寡占状態が鮮明になっている。
全国の仏具小売業者が加盟する全日本宗教用具協同組合(全宗協)では、
「(新型コロナによる)影響は、高齢者の外出自粛が求められた2020年2月ごろにはすでにみられた」
と指摘。
仏事や彼岸の墓参、月命日供養などで家族のなかで中心的役割を担う高齢者の行動が制限され、店頭販売を主力とする小・零細規模の仏具小売業者を直撃しているという。最初の緊急事態宣言が発令された2020年4~5月は、「東京ではほとんどの店舗が閉店」(全宗協)しており、影響が大きかった。
経済産業省よると、2002年の宗教用具の小売業者は、事業者数が4886か所、年間商品販売額は2705億7000万円にのぼった。それが2014年には、事業所数が3004か所(02年比38.5%減)、販売額が1639億4200万円(同39.4%減)となり市場は大きく縮小している。コロナ禍では、フードの宅配や物販でネット利用が拡大。全宗協は業界の課題として「インターネットでのPRや販路の構築が急務」と、従来の営業手法からの転換を挙げている。