反森派の反撃か! まだまだ出てくる? 「東京五輪内部告発」
報道によると、佐々木氏の「Olympig(オリンピッグ)」ネタがLINEで披露されたのは昨年3月のことでした。さらに佐々木氏の謝罪文を読むと、この「Olympig(オリンピッグ)」ネタは身内のブレストで出した「思いつき」レベルのもので、メンバーに不適切だと指摘されて直ちに謝り撤回していた、という認識だったようです。
それでは、なぜ今になって、1年も前の「内輪ネタ」が蒸し返されて、文春にスクープされてしまったのでしょうか?
私は、森元会長の辞任が引き金を引いたと思っています。佐々木氏は、電通と森元会長という「二大勢力」を後ろ盾にしており、昨年(2020年)12月には佐々木氏を総合統括にする「新体制」が発表されていました。
週刊文春の記事でも詳細に報じられていますが、東京オリンピック・パラリンピックの開閉会式演出をめぐっては、責任者が次々に交代したり辞任したりするなど混乱を極めていたようです。実際、私の知人にも関係者がいるのですが、昨夏の段階で「森会長(当時)と佐々木氏が全部決めてしまう......」と嘆いていたくらいですから、森氏と佐々木氏への不満は相当広がっていたことでしょう。
森元会長の勢力が衰えたとたん、降ってわいてきた「Olympig」の内部告発。この調子だと、「反森派」からの「内部告発」はさらに続くかもしれません。
海外メディアも「Tokyo Olympics hit by another scandal(東京五輪は新たなスキャンダルに見舞われている)」「it is yet another setback(また新たな妨げだ)」と報じていますが、IOC(国際オリンピック委員会)のバッハ会長も組織委員会の橋本会長も、相次ぐ騒動にきっと頭を抱えていることでしょう。
それでは、「今週のニュースな英語」は、「setback」(失敗、妨げ)を使った表現を取り上げます。進捗の妨げになるような時に使う表現ですが、後ろ向きのイメージです。「ちょっとした」「一時的な」「深刻な」といった形容詞を付与すると、応用範囲が広がります。
There has been a setback in our plans.
(私たちの計画に妨げがあった)
There has been a slight setback in our plans.
(私たちの計画に、ちょっとした妨げがあった)
There has been a temporary setback in our plans.
(私たちの計画に一時的な妨げがあった)
There has been a serious setback in our plans.
(私たちの計画に深刻な妨げがあった)
東京オリンピック・パラリンピックを、何としてでも開催したいIOCや組織委員会にとって、最大の「setback」は国民の支持を失うことです。「Olympig騒動」で、「もう、五輪はうんざり」とあきれた人も多いのではないでしょうか。橋本新会長のいばらの道はまだまだ続きそうです。(井津川倫子)