渡辺直美さんをブタに... またも「ニッポンの女性差別」が世界に! 「東京五輪もうやめよう」と怒りの声(1)

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   またまた「ニッポンの女性差別」のニュースが世界を駆け巡った。

   東京五輪・パラリンピック開閉会式の演出責任者、佐々木宏氏(66)が、開会式に出演予定のお笑い芸人、渡辺直美さん(33)の容姿をブタにたとえて「オリンピッグ」などとバカにする演出を考えていたことが明るみになった。渡辺さんに対してだけでなく、「オリンピック」そのものも侮辱する言動だ。

   ひと月前に東京五輪組織委員会の森喜朗前会長が「女性差別」発言で辞任に追い込まれたばかり。海外メディアは「東京五輪にまた混乱」「頭痛のタネ」と一斉に報じた。ネット上では、

「こんな恥ずかしい東京五輪、もうやめようよ」

という怒りの声が殺到している。

  • 「また女性蔑視」と報じるBBC放送電子版(3月18日付)
    「また女性蔑視」と報じるBBC放送電子版(3月18日付)
  • 「また女性蔑視」と報じるBBC放送電子版(3月18日付)

マジで渡辺直美さんをブタにする気だった

   佐々木宏氏は2021年3月18日未明に、東京五輪組織委を通じて謝罪文を発表、辞任した。

   主要メディアの報道を総合すると、佐々木氏のこの演出は、2021年3月17日に発信された週刊文春オンライン版(3月21日号)で発覚。それによると、佐々木氏は昨年(2020年)3月5日、当時の演出担当チームのスタッフにグループLINEで、「ブヒー ブヒー」(宇宙人家族が振り返ると、宇宙人家族が飼っている、ブタ=オリンピッグが、オリの中で興奮している)、「空から降り立つ、オリンピッグ=渡辺直美さん」などと演出案を提案した。

   渡辺さんをブタに変身させ、「オリンピッグ」のダジャレを使う内容に、スタッフから「女性を豚にたとえるなんてありえない」「ピンとこない」「理解できません」と批判され、提案を撤回した。

   佐々木氏は慶応大学卒業後、1977年に電通に入社。2003年に独立、ソフトバンクの「白戸家シリーズ」、サントリー「BOSS」の「宇宙人ジョーンズ」などの人気CMを多数手掛けた。

   五輪関係では、安倍晋三前首相がマリオに扮した2016年リオデジャネイロ五輪閉会式のアトラクションなどの演出を担当した。開閉会式の企画・演出は東京大会の1年延期を受け、狂言師の野村萬斎氏を総合統括とするチームが昨年12月に解散。迅速に準備を進める必要があるという理由でチームの一員だった佐々木氏に一本化した経緯がある。

   それにしても、いったいどういう意図でこんなにも女性と五輪を侮辱する案が出て来たのか。佐々木氏自身は、「謝罪文」の中でこう説明している。

《渡辺直美さんに対する演出アイデアの中で、宇宙人と地球人の接点的な役柄で、オリンピックの使者的キャラということで、オリンピックの語尾をピッグという駄洒落にして、オリンピッグという名前のピンク色の衣装で、耳が豚なのはどうだろう、という発案をしました。みんなの意見を聞きましたが、すぐに『ピンとこない』『面白くない』『女性を豚に例えるなんてありえない』『言うべきじゃない』などと非常に怒られ、私もその場で、大変恥ずかしながら、スタッフからの率直な直言で目が覚めました。私が調子に乗って出したアイデアです》

と本人が言うのだから、提案したときは「マジ」だったわけだ。

海外メディア「モリのダメージにまた打撃」

   週刊文春の報道を受けて、丸川珠代五輪相は3月18日午前の参院予算委員会で、

「まったく不適切なものだ。あってはならない発言だ」

と批判した。

   小池百合子都知事も記者団の質問に、

「ひと言でいって大変恥ずかしい。開会式は、コロナ禍が発生し世界が変わっている中で、東京から日本から何を発信するかというところがポイント。そこにネガティブな発信をしてどうするのだと思います」

と突き放したのだった。

   開会式の演出責任者の「女性侮辱」言動と辞任を受けて3月18日、海外メディアも一斉に報道した。

   米ブルームバーグ通信は佐々木氏の辞任を報じ、「延期された大会の新たな打撃」と指摘。森喜朗前会長が、女性蔑視発言で辞任したことにも触れ、「既に国民からの支持の低さに直面している大会にとって、また別の悩みの種になる」と報道した。

   米ウォール・ストリート・ジャーナル紙は「性差別的発言による組織委会長の辞任に続き、大会4か月前に不確実性を追加した」と論じた。五輪専門のウエブメディアのインサイド・ザ・ゲームズは「セレモニーディレクターが女性コメディアンへの蔑称的提案で辞任。ササキの辞任はモリのダメージから評判を回復しようとしている組織委にとって新たなトラブル」と報じた。

   このほかAP、ロイター、AFP通信、英BBC放送、米CNNテレビ、米ABCニュースなども報道した=写真参照

「また女性蔑視」と報じる米ウオール・ストリート・ジャーナル紙電子版(3月18日付)
「また女性蔑視」と報じる米ウオール・ストリート・ジャーナル紙電子版(3月18日付)

橋本聖子会長「慰留したい気持ちありました」

女性侮辱の佐々木氏を擁護するかのような姿勢の橋本聖子・組織委会長
女性侮辱の佐々木氏を擁護するかのような姿勢の橋本聖子・組織委会長

   3月18日正午、東京五輪組織委員会の橋本聖子会長(56)が記者会見を行った。しかし、佐々木氏に対してこれまでの功績に感謝する言葉はあっても、「女性侮辱」発言に対する強い批判の声は出なかった。むしろ、「慰留したかった」と言うのだ。

   日刊スポーツ(3月18日付)「橋本会長、辞意佐々木氏を慰留する気持ちがあった」が、会見の模様をこう伝える。

「橋本聖子会長が会見し、佐々木宏氏について慰留したい気持ちがあったことを明らかにした。佐々木氏の実績を鑑み『慰留をしたのか』と問われ、橋本氏は『はい。そういう気持ちはございました。ただ本人の(辞意の)思いが強かったので、受け入れるという決意をした』と語った」
勇気あるコメントを発表した渡辺直美さん(2019年撮影)
勇気あるコメントを発表した渡辺直美さん(2019年撮影)

   この発言について、記者から「問題の重要性を考えれば辞任を受け入れるのではなく、佐々木氏の意思にかかわらず、解任するという判断もありえたのではないか」と指摘を受けた。しかし、橋本会長は「その存在は式典を成功に導くために極めて重要な存在」「佐々木氏が熟慮を重ねて決断したことを受け入れた」と繰り返し、解任していた可能性については触れなかった。

   こんななか、渡辺直美さん自身が所属する吉本興業を通じて、こんなコメントを発表した。

《最初に聞いていた演出とは違うこの様な報道を受けて、正直驚いております。表に出る立場の渡辺直美として、体が大きいと言われる事も事実ですし、見た目を揶揄されることも重々理解した上でお仕事をさせていただいております。実際、私自身はこの体型で幸せです。なので今まで通り、太っている事だけにこだわらず『渡辺直美』として表現していきたい所存でございます。
しかし、ひとりの人間として思うのは、それぞれの個性や考え方を尊重し、認め合える、楽しく豊かな世界になれる事を心より願っております。私自身まだまだ未熟な部分もありますので、周りの方にご指導いただきながら、これからも皆様に、楽しんでいただけるエンターテイメントを作っていけるよう精進して参りたいと思います》

   やんわりとクギを刺した、渡辺直美さんらしいコメントだった。

(福田和郎)

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