PCR検査をすり抜ける変異ウイルスも登場
とはいえ、緊急事態宣言は解除しても新しい脅威が迫っている。変異ウイルスが恐ろしい勢いで広がっているからだ。
読売新聞(3月18日)「変異型主流化の恐れ 26都道府県399人に増加」が、こう伝えている。
「厚生労働省は3月17日、変異ウイルスの感染者が16日時点で、26都道府県で399人、空港検疫で86人の計485人だったと発表した。死者は大阪府の80代女性、神奈川県の2人を含め3人になった。各地で変異ウイルスのクラスターも相次いでいる。札幌市では食品会社の集会で計30人が感染、埼玉県や新潟県では児童関連施設で集団感染が発生。国内の変異ウイルスの感染者は、10歳未満と10歳代で4分の1を占める」
変異ウイルスは子どもも含めた全世代に感染しやすいのが特徴で、読売新聞の取材に対し、国立感染症研究所の脇田隆字所長は、
「子どもの感染しやすさについては注視する必要がある」
と注意を呼びかけている。
読売新聞は、さらにこう続ける。
「気になる数字がある。英エクスター大学などは今月、英国型は従来型に比べ、死亡率が約1.6倍高いとの分析を発表した」
しかし、日本では変異ウイルスについて、陽性とわかった検体の5~10%を抽出して調べるだけだ。政府は今後、40%に拡大して調べるとしているが、独自に変異ウイルスの分析を行っている神戸市によると、驚異的な勢いで広がっている。全体に占める割合が、3月4日までの時点で38.8%にまで上がった。これは前の週より16.9ポイントも上昇しているという。
折しも、PCR検査をすり抜けるという新種の変異ウイルスがフランスで発見された。朝日新聞(3月17日)「PCR検査すり抜ける新変異株 フランスで発見、調査」がこう伝える。
「フランスの保健当局は3月16日、新型コロナの新たな変異株が仏国内で確認されたと発表した。PCR検査をすり抜ける特徴がある。確認されたのは仏西部の病院。院内感染が発生し、79人が感染した。このうちの死亡した8人の患者から新たな変異株がみつかった。遺伝子配列を解析してわかった」
8人のうち7人は生前、新型コロナウイルス特有の症状がみられたものの、当初のPCR検査では陰性だった。抗体検査などを実施したところ、新型コロナウイルスに感染していることが確認されたという。
日本に入ってきていないといえるのか。入ってきてもわかるのだろうか。
(福田和郎)