不動産・住宅購入や賃貸借契約の際 「水害リスク」の説明が義務化された(中山登志朗)

全国の工務店を掲載し、最も多くの地域密着型工務店を紹介しています

重要事項説明は多岐にわたる

ネガティブな情報を含め、たくさんの説明を受ける......
ネガティブな情報を含め、たくさんの説明を受ける......

   不動産の売買契約や賃貸借契約の前には、必ず買主および賃借人は「重要事項説明」を受ける必要がありますが、それは宅地建物取引業者に説明する義務が課せられているためです(宅建業法第35条)。

   この契約を進めるにあたって文字どおり知っておく必要がある重要な事項について説明を受け、契約を締結するか否かの判断材料とするものですが、説明については必要かつ最小限に留められることもあります。

   つまり、今回追加された水害リスクや以前から重要事項説明項目であった土砂災害や津波に関するリスクは、これらのリスクが該当する地域であればネガティブな内容を多分に含んでいることになりますから、できればさらっと説明して通り過ごしたい事項ということになります。

   そもそも、重要事項説明で宅地建物取引業者が説明しなければならない項目は、多岐にわたります。

   列挙すると、まず基本項目として(1)有資格者である宅建士であることの確認や(2)物件所在地・態様の確認、(3)登記簿上に記載された事項の説明などから始まって、(4)建築基準法や都市計画法による利用制限の有無、(5)道路付けや電気・ガス・水道の敷設・設備状況、(6)契約条件や契約解除に関する事項、(7)損害賠償や違約金、手付金の保全についての説明、(8)改正民法に対応した売主もしくは賃貸人の契約不適合責任の範囲と履行に関する事項、(9)住宅ローンの斡旋に関する事項、(10)マンションであれば区分所有に関連する事項、(11)敷地権利に関する事項、(12)共用部および専有部ほかに関する多くの規約の説明(修繕積立金や管理費、管理の委託先などについても説明を受けます)など......です。

   これらに加えて、(13)造成宅地防災区域内および土砂災害警戒区域内であるか否かの確認、(14)アスベスト使用調査の有無とあれば調査結果などのネガティブファクターを説明したうえで、さらに(15)水害リスクについての説明も、新たに受けることになるわけです。

中山 登志朗(なかやま・としあき)
中山 登志朗(なかやま・としあき)
LIFULL HOME’S総研 副所長・チーフアナリスト
出版社を経て、不動産調査会社で不動産マーケットの調査・分析を担当。不動産市況分析の専門家として、テレビや新聞・雑誌、ウェブサイトなどで、コメントの提供や出演、寄稿するほか、不動産市況セミナーなどで数多く講演している。
2014年9月から現職。国土交通省、経済産業省、東京都ほかの審議会委員などを歴任する。
主な著書に「住宅購入のための資産価値ハンドブック」(ダイヤモンド社)、「沿線格差~首都圏鉄道路線の知られざる通信簿」(SB新書)などがある。
姉妹サイト