持ってる知識でこんなに違う! デキる営業とダメな営業の「差」はどこだ? (藤崎健一)

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販売後の「放置プレー」をなくしたことでオンライン受注が激増

   A社の情報提供の方法は、WEB閲覧にとどまらず、詳細資料を無償でダウンロードできるなどの工夫をして、利用者の利便性にも工夫を凝らしました。A社の製品はなかなか見向きされにくい高額なものなのですが、名刺交換した見込客や休眠顧客など約1万件のメール配信に対して、約3割の資料ダウンロードという大きな成果につなげました。

   当然、課題解決事例などをダウンロードしたお客様からは多くの問い合せを獲得し、商談に結び付けることに成功しています。この事例のポイントは、売り込みメールではなくタイムリーに営業上情報知識(この場合は経験知識)を提供した点にあります。日頃から社内で導入事例などの情報蓄積に努め、その情報知識を有効に活用した好事例であるといえるでしょう。

   もう一つ事例を紹介します。業務用のコーティング・塗料などの資材を製造販売しているB社のケースです。同社が扱う製品は、特殊施工をする際に使われる業務用資材です。そのため、施行の工期ごとに発注する企業や最初から見込数量で一括発注される企業など発注方法が様々で、顧客の在庫ストックが把握しにくくこまめな営業が必要でした。

   ところが、テレワーク導入で販売後の営業接触がしにくくなって、お客様側の状況を把握しづらい状況に陥りましたそこで、販売後の経過日数に応じて「フォローレター」を出すことにしました。

   具体的内容は、製品を使用した感想を伺う簡易アンケートの体裁をとってお客様の状況ヒアリングと追加オーダーにつなげようというものです。メールの発信者名を営業担当名にし、アンケートと共に最終発注日からの経過時間をお知らせして在庫切れによる業務停滞を未然に防止を呼び掛けるという、営業知識レターです。

   その結果、36.2%のお客様から返信がありました。しかも大半は、配信後わずか2日以内というスピード回答でした。アンケートの回答から製品やサービスの改善点を把握できただけでなく、追加オーダーにも繋がりました。この事例のポイントは、顔が浮かぶ営業担当者から、販売後のアフターフォローとして相手を慮る情報を提供した点にあります。

   これにより、多くのお客様からの返信を獲得しリピート注文につなげることができたといえます。

大関 暁夫(おおぜき・あけお)
株式会社スタジオ02 代表取締役 企業アナリスト
東北大学経済学部(企業戦略論専攻)卒。1984年、横浜銀行に入行。現場業務および現場指導のほか、出向による新聞記者経験を含めプレス、マーケティング畑を歴任。全国銀行協会出向時には対大蔵省(当時)、対自民党のフロントマンも務めた。中央林間支店長に従事した後、2006年に独立。銀行で培った都市銀行に打ち勝つ独自の営業理論を軸に、主に地域金融機関、上場企業、ベンチャー企業のマネジメント支援および現場指導を実践している。
メディアで数多くの執筆を担当。現在、J-CAST 会社ウォッチ、ITメディア、BLOGOS、AllAboutで、マネジメント記事を連載中。
1959年生まれ。
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