サブスクリ型の宿泊サービスに活路
こうした動きは地方都市にも広がっており、鹿児島県霧島市の「霧島国際ホテル」は5月20日で営業を終了し、半世紀の歴史に幕を下ろすことになった。「コロナ禍により安定的な事業運営の見通しが立たず、営業を続けるにはリニューアル投資が必要で、事業継続は困難」と説明する。宿泊業は定期的に大きな投資が必要となる装置産業であり、先行きも見えず、体力がなければ持ちこたえられないのだ。
厳しい状況は各地の宿泊業界を万遍なく覆っているが、苦境下でも新たな需要を作ろうという取り組みも少しずつ生じている。
その一つが、「月額料金で使い放題」というサブスクリプション型の宿泊サービスだ。帝国ホテルや、傘下にホテルを持つ三井不動産グループなどが続々と乗り出している。関係者によれば、ホテルのサブスクは「旅行に行けずにストレスをためている人や、テレワークをする人たちに好評」といい、発売と同時に完売してしまうケースもあるという。
「コロナ禍からの回復には数年かかる。回復期まで、いかに工夫して客を呼び込めるかが生き残りのカギになる」(業界関係者)との声もある。宿泊業は、まさに正念場を迎えている。(ジャーナリスト 済田経夫)