米国のバイデン政権による大規模な追加経済対策の成立と米長期金利が落ち着いてきたことを背景に株価が持ち直し、ドル買いも進んだ。
ただ、3月16~17日に開催される米連邦公開市場委員会(FOMC)や、18日~19日の日本銀行の金融政策決定会合を終えるまでは、目が離せない。改めて示される金融緩和策の方針次第ではドル買い・円売りがやや縮小する可能性がある。
どうなる!? 今週の株式・為替マーケット!
東京株式市場 日銀のETF買い入れに注目
日経平均株価予想レンジ:2万9000円~3万500円
2021年3月12日(金)終値 2万9717円83銭
今週の東京株式市場の日経平均株価は、神経質な展開か。
前週の日経平均株価は、3週間ぶりに上昇した。米国でバイデン政権による1兆9000億ドルの大規模な追加経済対策が成立。これを好感した米国株の上昇を受け、日経平均株価も上昇した。外為相場が1ドル=109円台前半へと円高が進んだものの、日本株への影響は少なかった。
今週の日経平均株価は、16日から米国でFOMC(米連邦公開市場委員会)、18日から日本銀行の金融政策決定会合が開催されるため、神経質な展開となりそうだ。
ただ、日米両国の金融政策でサプライズがなければ、日経平均株価は3万円回復を試す局面がありそうだ。特に日銀の金融政策会合は金融政策の点検結果の発表が予定されており、日銀によるETF(上場投資信託)の買い入れ額の減額といった観測報道も出ているだけに、株式市場では「クジラ」と呼ばれる日銀のETF買い入れ姿勢に変化がなければ、日経平均株価は3万円台乗せとなる可能性は大きい。
東京外国為替市場 ドルは底堅い
ドル・円予想レンジ:1ドル=108円00銭~110円00銭
2021年3月12日(金)終値 109円00銭
今週の外国為替市場でドル円相場は、強含みのもみ合いとなりそうだ。
前週のドル円相場は、ドルが一時1ドル=108円台前半まで下げる局面もあったが、米国でのバイデン政権による1兆9000億ドルの大規模な追加経済対策成立を受け、米国経済の回復期待を背景にドル買いが優勢となり、1ドル=109円台前半に上昇した。
今週のドル円相場は、ドルが強含みのもみ合いとなりそうだ。ドル上昇の一因となっていた米国の長期金利上昇が落ち着いていることに加え、追加経済対策が成立したことで、一段のドル高を演出する、強いドル買い材料は乏しい。半面、円買い材料にも乏しいことから、ドルは底堅い動きが続きそうだ。
経済指標は、国内では15日に1月の機械受注、17日に2月の貿易収支、18日に日銀金融政策決定会合(19日まで)、19日に2月の消費者物価、日銀の黒田東彦総裁の会見などが予定されている。
海外では、15日に中国の2月の鉱工業生産と小売売上高、16日に米国の2月の小売売上高と鉱工業生産、設備稼働率、米FOMC(17日まで)、17日に米国の2月住宅着工件数、米FRB(米連邦準備制度理事会)のパウエル議長の会見などが予定されている。
(鷲尾香一)