福島第一原発、40年かかる廃炉の道 10年が過ぎたが......【震災10年】

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「一発アウト」の現場

   福島第一原発には、4つの原子炉建屋があるが、水素爆発によって建屋の上部が吹き飛んだ3号機は巨大なドーム状の構造物に覆われ、異質な様相を呈している。このカバーの施工を担当した鹿島建設の工事所長、岡田伸哉さんの話も興味深い。

   瓦礫が絡み合い、積み木崩しをするような作業。JVパートナーの東芝の協力を得て、写真を3D化したデータを構造設計部門で解析し、「Aを動かすとBは動くのか、それとも落ちるのか、全く動かないのか」を一つひとつの瓦礫について判断していったという。

   そうしたハイテクとローテクを組み合わせて瓦礫を撤去しながら、2018年2月にドームは完成、19年4月から使用済み核燃料プールから燃料取り出し作業が始まっている。

   瓦礫の運搬は「東電福島高線量廃棄物運搬工事事務所」が担当した。鹿島建設の同事務所の所長・福山哲也さんの言葉が印象深い。

「イチエフの現場で働いていると、人間が慣れによってリスクを感じなくなっていく生き物であることを実感する」

   毎時30ミリシーベルトまでが「低線量」、それ以上を「高線量」と呼んでいたが、「低線量」だと心配ない、と作業員が話しているのに危機感を持ったという。

「ここにあるのは高いか、めちゃくちゃ高いか、の二通りなのですから」

   福山さんは東電に提案し、すべて「高線量廃棄物」と呼ぶことにしたという。ここは「普通の現場」だと思ってはいけない、「一発アウト」の仕事をしているという彼らの使命感が危険な作業を支えている。

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