お店に入り、本に触れる
「祖父は典型的な古書店の店主といった感じの人で、店主としてお客さんと一定の距離を保つような接客のあり方を見てきました。意識的に心がけているわけではありませんが、私もそういったタイプかもしれません。」
と、浩一郎さんはニッコリする。
「入りづらい店構えかもしれませんが、店内を眺めるだけでも良いので気軽に来ていただきたいですね。思いがけない発見があるかもしれません」
書棚には身近に感じにくい、難しげな文字が並ぶが、たまに「ねじ」や「石ころ」など身近に感じる言葉を見つけて思わず手にとる。自分には想像もつかない分野の研究が、この世にはあふれているんだなぁ、とワクワクする気持ちだ。
店内は静かだが、棚と棚のあいだで本を探し求める人たちは真剣な表情で背表紙を追う。その熱量で、活気に満ちている。(なかざわ とも)