ふたり親世帯、NPOが実態調査したら......
では、「ふたり親世帯の支給」の動きは、どうして生まれたのか――。主に生活困窮世帯を支援するNPO法人などの活動からだった。東京新聞(2021年2月8日付)「ふたり親にも給付金を NPOが政府へ要望発表 コロナで生活打撃」が、こう報じている。
「新型コロナ感染拡大で低所得の子育て家庭の生活が打撃を受けているとして、困窮する子どもらを支援するNPO法人代表らが2月8日、東京都内で記者会見し、住民税非課税などの世帯を対象に第1子は5万円、第2子以降は1人当たり3万円の給付金を3月中に支給するよう政府に求める要望を発表した。政府は昨年、児童扶養手当を受給している低所得のひとり親世帯に『臨時特別給付金』を2回支給したが困窮するふたり親世帯には支給しなかった」
記者会見をしたNPO法人「キッズドア」(東京都)が昨秋実施したアンケートによると「過去1年間で電気、ガス、水道、家賃などの支払いができなかった」世帯はふたり親で37%に上り、ひとり親の21%よりも多かった。「貯蓄が10万円未満」の世帯もふたり親が51%とひとり親よりも10ポイント高かった。つまり、今まで「蚊帳の外」に置かれていたふたり親世帯のほうが、ひとり親世帯より困窮度が高いというのだ。
キッズドアの渡辺由美子理事長は、
「ふたり親世帯には今までまったく何の支援もない。大変な子どもたちみんなに(給付金を)出してもらうことが重要です。アンケートでは『削れるのは食費くらい。もやしや豆腐料理が多く、子どもたちにはもっと栄養のあるものを食べさせてあげたい』という声もありました」
と訴えたのだった。
キッズドアは3月2日、約5万人の署名を集めて要望書を厚生労働省に提出していた。