就活本番「オヤカク」を制するために企業は? 「逆転面接」という妙手はどうだ!

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   2022年に卒業予定の大学生らを対象にした企業の採用説明会が、3月から解禁され、就活シーズンが幕を開けた。そうしたなか、長崎県が公開した「逆転面接」と題した動画に注目が集まっている。

   近年、若者の就職活動で保護者の存在感が増している。企業が内定を出した学生に「親が入社を承諾していること」を確認する「オヤカク」はその一つで、長崎県は「若者の地元定着のためにはまず親たちに地元企業のことを知ってもらうことが大切」と、保護者が企業の採用担当者らを相手に面接するストーリーを仕立てで制作した。

  • 長崎県が公開した動画「逆転面接」
    長崎県が公開した動画「逆転面接」
  • 長崎県が公開した動画「逆転面接」

長崎県が動画を制作

   緊張した面持ちで会場に入る3人の採用担当者。なかでは3人の保護者が待ち構えている。就職を控えたそれぞれの子どもたちは、別室のモニターでこの逆転面接の様子を見守っている。

   「自社PR」で水処理や環境システムなどの事業を手掛ける企業の担当者が、技術力の高さをアピール。すると、保護者の一人が「技術がすごいということは覚えることが多くて大変なんじゃないでしょうか。うちの子は、新しい環境になじむのがどうも苦手で...」と不安げに聞く。担当者が教育・研修制度の充実ぶりなどを説明すると、保護者の表情は一転して満足気となり、子どもの就職先として納得した様子を示す。

   こうしたやり取りが他の企業の担当者と別の保護者とのあいだでも行われ、それぞれの企業の事業内容などが明らかにされていく。全編で7分弱の長さだ。制作したのは、長崎県の産業労働部若年定着課。2021年2月16日に公開した。動画は「企業の担当者が保護者の『オヤカク(親確)』をもらうことを描いた」という。

   「オヤカク」はここ数年、就活をめぐって聞かれるようになった言葉。新卒者の採用内定に、親が入社に反対して辞退に及ぶケースが増えたことで、就活・採用プロセスの最終チェックとして生まれた。

   2020年卒の就活生を対象にして、就職情報会社マイナビが2019年7月に行った「学生就職モニター調査」によると、調査時に企業から内定を得ていた学生1646人のうち、26.4%が内定先から保護者が入社を承諾しているかを確認されており、その割合は4人に1人。業種別では、小売36.1%、金融35.3%、商社31.6%の順で多かった。

   かつて、就職情報サイトを運営する企業が就活生の「内定辞退率」を予測し、そのデータを企業に販売していたことが発覚して問題になったことがあったが、近年、就職内定者の辞退率が高まっていて、企業にとっては辞退率の改善は、辞退者の補充コスト削減のためにも必要。このため「オヤカク」の果たす役割の重要性がますます高まることが考えられる。

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