ギリギリ5、6月まで待つIOCの煮え切らなさ
では、医療関係者らが懸念するように、このまま変異ウイルスが日本国中に広がった場合、東京五輪・パラリンピックの開催はどうなるのか。
3月11日、国際オリンピック委員会(IOC)はオンラインで総会を開き、トーマス・バッハ会長(67)を再選した。バッハ会長は東京五輪開催について、
「7月23日に開会式が行われることに疑う理由はない。問われているのは開催の可否ではなく、どのように開催するかだ」
と、相変わらず強気の挨拶をした。
しかし、オンラインの記者会見では途端に弱気に転じた。毎日新聞(3月11日付)「バッハ氏、東京オリンピックの国内客の受け入れ判断先送りを示唆」によると、
「3月3日に開いた東京都の小池百合子知事らとの5者協議では、新型コロナウイルスの感染状況を踏まえ、海外客の受け入れ可否は3月内に、国内客の取り扱いは4月中に判断することで合意した。
バッハ氏は『どれほどの観客を入場させるか、私たちはドアを開けておかなければならない。5月や6月に起こった出来事を考慮に入れるためで、意思決定にはいくつかのステップが必要だ』と語り、直前まで状況の改善を待って判断する姿勢をうかがわせた」
という。
つまり、コロナ禍の状況がどうなるかわからないので、観客問題などの重要案件をギリギリの5月や6月まで待つというのだ。
日本政府は、すでに海外客を入れない方針を固めている。遅くとも4月初めまでに観客数の問題を決めておかないと、チケットの販売やキャンセルで大混乱が起こり、コロナ禍の具体的な感染対策も決まらない。
このIOCの煮え切らない態度を、どうみるべきだろうか。
(福田和郎)