変異ウイルス増加の恐ろしい実態
新たな変異ウイルスの登場を報じるのは読売新聞(3月9日付)「変異型25都道府県で 空港検疫含め380人超」という見出しの記事だ。
「3月に入って変異ウイルスの感染判明が相次いでいるのは大阪府だ。3月9日時点で79人の感染が確認されている(編集部注:10日に50人のクラスターがあったので累計129人)。青森県や兵庫県では、厚労省が発表している英国型、南アフリカ型、ブラジル型とは別の『E484K』型と呼ばれる変異ウイルスの感染者が計6人いた。このタイプはワクチンの効果を減らす可能性があるとされる。厚労省の担当者は『変異ウイルスを調べるPCR検査が全国に普及し、感染者も相次いで見つかっている。危機感を持って対応しなければならない』としている」
「E484K」はウイルス表面のたんぱく質が変化し、抗体を認識しなくなる「免疫逃避型」変異と呼ばれ、従来型よりも免疫やワクチンの効果を低下させる可能性が高いとされる。沖縄タイムス(3月11日付)「沖縄でコロナ変異株を初確認 県きょうにも記者会見」によると、「E484K」型が3月11日に沖縄でも初めて発見された。
特に急拡大が著しいのが神戸市だ。神戸市が今年1月から全国に先駆けて独自に変異ウイルスの感染実態の検体調査を行っているからだ。
朝日新聞(3月8日付)「神戸で変異株増加、感染者の半数占める日も 検査増訴え」が恐ろしい実態を、こう伝えている。
「感染力が強いとされる変異ウイルスの神戸市での広がりが注目されている。市は『2月中旬には感染者の約15%を占めていた』と発表し、変異株の感染者は全国でも多い。市は『検査を多く実施する結果、発見も増える』と説明。変異株の割合は増加傾向にあるとし、検査の充実を訴える」
神戸市環境保健研究所の発表では、今年1月から2月18日までに確認された「英国型」の感染者は31人。市内の感染者に占める割合は1月29日~2月4日の4.6%から2月12~18日は15.2%と3倍増。市の担当者によると、その後も全感染者の5割を占める日もあり、増加傾向は続く。神戸市が変異ウイルス感染者の濃厚接触者をほかよりも多く検査しているという面はあるが、飯島義雄所長は朝日新聞の取材に対し、
「それだけ変異ウイルスの感染力が強いと考えている。(厚生労働省の発表では、変異ウイルスが多く確認されているのは埼玉、兵庫、新潟の順だが)神戸市で変異ウイルスが多く出ているのは検査数が多いためで、全国的にも一定の割合で広がっているのではないか」
と説明した。
つまり、神戸市のようにきちんと調査すれば、変異ウイルスが恐ろしい勢いで広がっていることがわかるはず、と指摘しているのだ。
(福田和郎)