ドイツ原発「完全」廃炉への道のり
最後に2022年に脱原発をするドイツの原発事情について触れておこう。
現在、ドイツで稼働中の原発は6か所、8GWである。東京電力福島第一原子力発電所の事故以降に閉鎖された原発は11か所だ。それ以前にも多くの原発が閉鎖されているが、廃炉解体が終了しているのは4か所で、1985年までに閉鎖されたものだ。
1985年以前に停止したものも含む、それ以外の原発27か所は廃炉作業の途中である。原子炉はまず冷却し、放射線量を減らす必要があり、すぐには解体できない。多くの原発は発電機や冷却塔の解体をしているが、解体完了は数十年かかる。原発の多くは廃炉費用を積み立てているが不十分であり、税金を投入しながら何も生み出さない施設を何十年もかけて廃炉することになる。
問題は、こうした仕事に若者が集まらないことだ。今後どのように廃炉作業の人材を確保するかが最大の課題である。(西村健佑)
プロフィール
UmwErlin
クラブヴォーバンのプロジェクトメンバーの一人であり、在ベルリン調査員・環境政策研究者
ドイツ・ベルリン在住。ドイツをはじめ欧州の環境・エネルギー政策について調査、通訳・翻訳を手がけ、日本に正しい情報を伝えるべく活動している。