一般消費者が使う電力の再エネ比率は60%超
ドイツでは再エネは相当広く普及している。ドイツも日本と同様に、固定価格買い取り制度(FIT)によって再エネを推進してきた。FIT電源の環境価値は賦課金を払う人に均等に配分される。ドイツでは電力を大量に使う企業の一部は賦課金負担を免除されており、その分は一般消費者が肩代わりし、その分再エネ比率も高まる。
ドイツの再エネ比率は45%だが一般消費者の電力で見れば2019年で60%以上が再エネとなっている。2020年は65%を超える。つまり、わざわざ再エネ電力を選ばなくても3分の2が再エネになっている。
ドイツは太陽光と蓄電池をあわせたコストが電気代を下回るストレージパリティが起こっており、一軒家を新築する場合はPV(ソーラー)パネルと蓄電池の購入は誰もが検討するオプションである。
太陽光発電は年間4GW程度成長しているが、再エネ法の支援を受けているのは半分程度であり、2GW弱のPVは家庭が「得をするから」導入しているのである。特に南ドイツ行くと新築の多くがPVを屋根に乗せている。じつはこうした家庭の自家消費は先程の統計には含まれないため、再エネは身近に溢れているのである。
2020年はコロナ禍の景気対策のための追加支援もあり、電気自動車(EV)が20万台近く売れた。私の住むベルリンでも、自家用車としてEVに乗る人が増えたことを感じる。また電気バスも100台以上走っており、普通に見る乗り物になってきた。
ただ、公共充電インフラの整備状況は進んでいるとは言えない。2021年1月の公共充電ポストの数は1万8000か所弱と、EVの数に比べても随分少ない。私の家の近所には徒歩圏内に数か所あるが、統計で見ると例外だろう。
ただ、それとは別に近所のスーパーマーケットの半分くらいが充電ポスト設置をしており、そこで充電しているEVやプラグインハイブリッドを見る機会は増えた。
今後は約2300か所ともっと少ない急速充電スタンドの数を大幅に増やす必要がある。こうした急速充電スタンドは高速のサービスエリアで時折見かけるが、数が足りていないというのは実感としてある。