NTTの高額接待、ドコモ「アハモ」が薄汚れて見える! 携帯値下げに期待した人々の失望の声(2)

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   NTTグループによる総務省幹部の高額接待で、携帯電話料金値下げを主導してきた総務官僚ナンバー2の谷脇康彦氏(60)が2021年3月9日、総務審議官を更迭された。

   NTTと総務省の「ズブズブの癒着」が明らかになり、ドコモの新料金プラン「アハモ」(ahamo)も途端に色あせてみえる。

   携帯電話料金の値下げはこれからどうなるのか――。

  • 携帯料金はこれからどうなる?
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谷脇氏とNTTとの持ちつ持たれつの関係

   プライベートではくだけた一面を持つ、総務官僚ナンバー2の谷脇康彦氏(60)だが、NTTとどう繋がっていったのか。読売新聞(3月9日付)「事実上更迭の谷脇総務審議官、携帯料金引き下げに関与...政策に影響も」が、こう報じる。

「総務省は、NTTの事業計画の認可などの権限を持ち、強い影響力がある。子会社であるNTTドコモも、携帯電波の周波数の割り当てなどで同省が所管する電波法の縛りを受けている。NTTが2回にわたり谷脇氏を接待した2018年9月は、官房長官だった菅首相が『携帯料金は4割程度下げる余地がある』と発言した直後だった。3回目の接待があった2020年7月は、NTTがドコモの完全子会社化を検討していた時期と重なる。一連の接待には、通信業界に影響力を持つ谷脇氏の意向を探りたいというNTT側の思惑があったとみられる」

   朝日新聞(3月9日付)「総務官僚接待見えぬ底 NTT社長との蜜月の3年」も、総務省と持ちつ持たれつの関係を築きたいNTT側の狙いを、こう説明する。

「今回判明した接待は、通信行政を担う総合通信基盤局長に谷脇康彦氏が、NTT社長に澤田純氏がそれぞれ就任し、その後、制度が大きく動いた時期と重なる。『総務省がリードする形で、議論を始めてほしい』。澤田氏は2018年7月、社長就任後の朝日新聞のインタビューに答えた。固定電話網の維持を義務付けられて年数百億円の赤字が出ていたため、サービスの緩和を求めるものだった」

   2019年10月には有識者会議で義務緩和を認める報告書をまとめた。昨年5月に(義務緩和が盛り込まれた)NTT法が改正され、今年4月に施行される。NTT側も政府の要請を受け入れてきた。官房長官だった菅氏が2018年8月の講演で「携帯料金は4割程度下げる余地がある」と言及したのを合図に、総務省が料金値下げの研究会を設置。谷脇氏が旗振り役となり、通信料と端末代金の「セット販売」禁止といった施策を次々と打ち出した。

   2019年、谷脇氏は総務審議官に就任。2020年秋、菅氏が首相になると「携帯電話料金の値下げ」を目玉施策に掲げた。谷脇氏はその実行役となる。そして、NTT側は携帯料金値下げに協力する姿勢を示すのだ。朝日新聞がこう続ける。

「NTTドコモは料金体系を段階的に引き下げ、昨年(2020年)末には従来水準より6割安い新プラン『アハモ』を発表。競争環境を大きく変える『ゲームチェンジ』を仕掛けた。時期を同じくして澤田氏はドコモの完全子会社化を推し進めた。(KDDIやソフトバンクなど)競合他社がNTTの肥大化を懸念するなか、総務省はNTTの方針を容認した。こうした『表』の動きとは別に、通信行政の責任者らが相前後して高額な接待を受けていた」

   こうして違法な接待の発覚によって谷脇氏は更迭された。しかし、司令塔を失って、さらなる携帯電話料金の値下げの動きはどうなるのか。記者団から「後任が空席でどうするのか」と問われた竹田良太総務大臣は会見でこう述べた。

「携帯料金値下げをはじめ、情報通信分野の重要政策は、決して停滞させることなく進めていくことが重要です。私自身がしっかりとリーダーシップを発揮して取り組んでいきたいと考えております」

菅首相の目玉政策はズブズブの関係から生まれた

ドコモの「アハモ」はドコモ子会社化の見返りだった?
ドコモの「アハモ」はドコモ子会社化の見返りだった?

   しかし、ネット上では「そもそもスマホに詳しくない武田大臣では、厳しいのではないか」という声が聞かれる。何より総務省とNTTの「ズブズブの関係」にガッカリした人が多かった。

「菅政権の一連の強引な携帯料金値下げ政策、急にあっさり認められたドコモの完全子会社化とNTT一体化の動き。おかしいとは思ったけど、やっぱり裏にはこういう理由があったのか。NTT法というNTTだけの法律があるくらい特殊な会社が、総務省とこんなにズブズブな関係とは。東北新社の問題より深刻な気がする」
「NTTはドコモを完全子会社にしたかった。菅首相はなんとしてでも携帯料金値下げをしたかった。接待の結果、NTTがドコモを子会社化する見返りに、ahamoブランドを作らせた。バレバレの構想ではありますが、NTTにとっては美味しいディール(取引)。『携帯料金引き下げ』の対価はNTTドコモの本体への吸収。シンプルそのものの」
「いくら元官営企業とはいえ、今では民間の一独立企業体であるはずのNTTが、料金体系を否定することにもなるのに、なぜ簡単に値下げに舵を切れたのか不思議だったが、一連の騒動を見てよくわかった」
「接待の時期と菅官房長官が『4割は下がる』と言い出した時期と符合しているし、最初に値下げ案を出したのはNTTだし、状況証拠はそろっている。auもソフトバンクもほぼ同じ値下げをした。談合があったと思われてもしかたがないね。公正取引委員会は調査を開始すべきだ」
「携帯料金値下げの議論中に、橋渡し役の総務省幹部が更迭って、もはや『更迭だョ!総務省全員集合(8時だョ!全員集合)』というコントを国会でやっているとしか思えません。NTT社長から接待を受け推し進めた、ドコモ完全子会社化という時代に逆行した民業圧迫を撤回するべきです」

   一方で、官僚の接待は絶対に許せないが、携帯料金が下がったことは「認めてもいいのでは、という声も一部にあった。

「とはいえ、NTTの接待なしならUQの20GB(ギガバイト)3980円の幻プランだけで値下げが終わっていたわけですよね。KDDI(au)、ソフトバンクは営利企業だから値下げをする気などさらさらないし。電波オークション(電波の周波数帯の利用権を競争入札にかけること)制度も含めて競争を真に起こす仕組みを作らないと、値下げも一時的なもので終わってしまう」
「結果的に携帯料金が下がったのは嬉しいが、菅首相の目玉政策って、結局こういうズブズブのところからきているのでしょうか。就任当時、カッコよさげに語ったことが、なんだか薄汚れてしまった感が否めないです」

(福田和郎)

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