【震災10年】企業倒産は2061件、負債総額1兆7143億円 「今なお発生し続けている」

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2021年の倒産件数は40件、10年連続で発生

   帝国データバンクの調査によると、「東日本大震災」関連倒産の発生状況は、震災後5年目にかけては毎年100件超が発生していた。6年目以降は本格化した復興工事をはじめ、被災地での生活再建や地域経済の再始動を背景に、関連倒産は年々沈静化の傾向をたどり、10年目となる2021年(2020年3月~21年2月)では40件と、発生から10年で最も少なかった。

   ただ、震災関連倒産のうち、地震や津波による建物の倒壊や喪失など「直接被害型」の倒産が占める割合は、震災直後に比べて大きく高まっているのが近年の傾向という。1年目の9.2%から5年目以降急速に拡大し、ピークとなる8年目には全体の56.1%を占めたほか、10年目でもなお4割を占めた。

   震災を乗り越え、政府や自治体の経営支援を活用して工場や事業所などのハード面は再建したものの、取引先の廃業や需要の低迷などで売り上げが当初の想定よりも下回ったことで、徐々に資金繰りが苦しくなり、最終的に経営が破たんするケースが多い。

   帝国データバンクは、震災がもたらした影響は10年を経た今でも企業経営に色濃く影を落としており、震災関連倒産は発生から10年、120か月連続で発生し続けているという。

東日本大震災で多くの建物が倒壊した(岩手県宮古市 2011年)
東日本大震災で多くの建物が倒壊した(岩手県宮古市 2011年)

   業種別でみると、過去10年の発生のうち最も多かった業種は「サービス業」で累計463件だった。次いで「製造業」の423件、「卸売業」の417件と続いた。

   当初は、流通網の寸断や取扱商材の風評被害、取引先の廃業などの理由で需要が急減し、中間流通を担う卸売業者での倒産が多く目立った。しかし、ここ数年は東北地方を中心に製造業の件数が増加しており、10年目では累計件数で6件差ながらも卸売業を上回った。

   さらに詳細をみると、「ホテル・旅館」が134件。地震と津波による宿泊施設の流失や損壊、観光客減少による客室稼働率の低下などを受け、借入金の返済猶予など資金繰り支援を受けつつも抜本的な収益環境の改善には至らず倒産に陥るケースが多く、震災から10年を経て、なお多く推移している。

   荷動きや取引先の減少などに見舞われた「一般貨物自動車運送」の51件、震災直後の資材調達難といった影響を強く受けた「木造建築工事」の50件、被災地の主力産業である一方、不漁や需要低迷などで業況の回復が鈍い「生鮮魚介卸」の38件などの倒産が多い。

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