株価乱高下でパウエルFRB議長は発言を軌道修正
米長期金利の上昇は、株式市場を直撃した。米ニューヨークのダウ平均株価が2月25日に559ドル値下がり、26日も469ドルと2日で100ドル超下げ、東京株式市場の日経平均株価も26日に1202円安と4年8か月ぶりの下げ幅を記録。その後も、ダウは3月1日に603ドル上げると2~4日で計600ドル下げ、5日は572ドル高と荒い値動きが続き、日経平均株価も1日に697円上げ、4日に628円下げるなど乱高下を繰り返している。
じつは、2月下旬までは米FRBも市場も、一定の金利上昇は株価の急ピッチすぎる上昇を是正し、長期的に株高を続けるうえでプラスとみていたフシがある。
FRBのパウエル議長は2月23日の議会証言で、経済の現状について「FRBの目標からは程遠い」として緩和政策を継続する姿勢を強調する一方、1.4%に近付いていた足元の長期金利については「経済再開や経済成長への期待の表れ」と静観する姿勢を見せた。市場では、超金融緩和の副作用である過熱感を、長期金利上昇が抑制するという「自動調節機能が働いた」(アナリスト)と肯定的に評価する声も聞かれた。
ただ、その後の株価の乱高下を受け、パウエル議長は3月4日の討論会で、金利について「債券市場発の市場の混乱や金融環境の引き締まりが発生すれば、不安材料になる」と、2月の証言から軌道修正し、金融緩和の継続を強調した。
金利が年初に比べ0.6%上昇と、ピッチが早すぎることを懸念しているとみられるが、この日の株式市場は、ダウが345ドル安となり、「パウエル議長の発言は踏み込み不足」(市場関係者)との声もあった。