丸紅が三菱商事を抜くことがあるかも......
一方、丸紅自体も大手商社の中で悪くないポジションにある。商社の実力をみる指標である純利益で長らく三菱商事が首位にあったが、2021年3月期はどうやら伊藤忠がトップに躍り出ることになりそうだ。
2020年4~12月期連結決算の純利益は、伊藤忠が3643億円、通期予想は4000億円。これに対して三菱商事は4~12月期が1691億円で通期予想は2000億円だ。三菱商事には得意とする原料炭価格の下落が影響している。三井物産は三菱商事を上回り、4~12月期が1989億円で通期予想が2700億円(2月3日に上方修正)。このような中で、丸紅はいまや3位の三菱商事に肉薄し、4~12月期が1637億円、通期予想は1900億円(2月3日に上方修正)だ。
丸紅が三菱商事を抜くことも、あり得ないとは言えなくなってきた。丸紅は鉄鉱石価格の上昇に加え、穀物関連事業の好調さが業績を押し上げている。
2月3日の丸紅の2020年4~12月期決算発表以降、内外の証券各社が目標株価を引き上げた。2月12日付リポートで640円から740円に引き上げた野村証券は、
「鉄鉱石や銅市況の上昇もあり、業績の堅調さは続くと考えている」
「2022年3月期には過去最高益水準に回復するだろう」
と、指摘した。
かつて「財閥系」を仰ぎ見た「関西繊維系」の丸紅が、財閥系に追いつき追い越そうとするさまが、投資家に好感されているとも言えそうだ。