コロナ禍で窮地の鉄道会社 関連ビジネス拡大が裏目になって......

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近鉄は早期退職を募集

   一方、関西でコロナ禍による影響が深刻な鉄道会社は、私鉄として営業距離が国内で最も長い近畿日本鉄道を中核とする近鉄グループHDだ。2021年3月期の連結最終損益の赤字額を従来予想の480億円から780億円に下方修正した。さまざまな企業をグループに抱える中で、特に経営状態が悪化しているのは連結子会社で東証1部に上場しているKNT‐CTホールディングスだ。

   なじみのある社名ではないが、その傘下にはいずれも大手旅行会社の近畿日本ツーリストとクラブツーリズムを抱えており、コロナ禍の外出自粛や出入国制限を受けて売り上げが急減。2020年12月末時点で債務超過に陥った。立て直しのため2021年1月には希望退職を募集し、全従業員の約2割が応じている。

   鉄道の乗客も減少しており、近畿日本鉄道も早期退職の募集や新入社員の採用抑制による人員削減計画を発表した。近鉄グループHDの赤字額の拡大には、こうしたリストラ関連費用も含まれている。

   大手私鉄の中でも、コロナ禍の影響を比較的受けにくい不動産事業の割合が高い社は赤字幅を抑えられており、旅行やレジャーに重点を置いてきた会社と明暗が分かれる形になった。今回の業績悪化を受けて従業員の削減に踏み切ったのは、コロナ禍による需要減が一時的ではないと判断した証左であり、2021年も鉄道会社にとって厳しい経営環境が続きそうだ。(ジャーナリスト 済田経夫)

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