ジョブリターンを利用して元の会社に戻る方法も
――一方、妻の気持ちもよくわかるという意見も少なくありません。かつて有名企業の総合職として働きながら、家族の要望や働き口がないなどの事情で働けない実情を訴えている人もいました。
川上さん「これだけ多様性が重視され、個人の意志が尊重される時代になっても、いまだに家庭とのバランスをとりながら働くことは難しいというジレンマを多くの女性が抱えています。個人の意識のほうが進化のスピードが早いのに、社会システムのほうが追い付いていないというのが現状です。投稿者さんの妻もきっと、目の前に用意されている選択肢の少なさを感じているはずです。
――妻の希望を叶えるには、育児・介護などを理由に一度退職した従業員をもう一度雇用する「ジョブリターン制度」や、企業の元社員(OBやOG)のネットワークである「アルムナイ」を活用したらよいとの意見もいくつかありました。
川上さん「行政などが取り組んでいるジョブリターンの支援などがあればぜひ検討されるとよいと思います。仮に就業につながらなかったとしても、様々な助言や市場環境の情報を得ることができます。また、アルムナイについても働く女性の意識調査『一度退職した会社に戻るのは、あり?なし?』を行ったことがあります。
一度退職した会社に元社員が復帰できるアルムナイについて、約9割が賛成だと回答しています。そして復帰したいと思ったことが『ある』と回答した人の割合は6割近くを占めました。ただ、アルムナイについては、会社によってかなりスタンスが異なるのが実情です。投稿者さんの妻が、かつての勤め先に戻ることを選択肢に入れているのであれば、ぜひ情報を仕入れておかれるとよいと思います」