新型コロナウイルスをめぐって首都圏1都3県に発令されている緊急事態宣言の期限が、2021年3月21日まで再延長されることになった。
8日からの宣言解除を見越して準備を進めていた企業の営業担当にしてみれば、気勢をそがれて落胆しているかもしれない。
コロナ禍で導入が進むテレワークに必要なツールや専門家を紹介するメディア「テレワークソリューションバンク」を運営するクラウドパートナーズ株式会社(東京都港区)の調査によると、新年度を目前に多くの営業担当者が営業計画を立てられず、従来の営業方法が通用しないことに戸惑っていることがわかった。3月4日に発表した。
従来の営業方法が通用しない
調査は、緊急事態宣言の期間中にあたる2021年2月17日から3月1日に、1都3県在住の営業職の会社員300人を対象に、インターネットで実施した。
それによると、「営業計画の決定状況」について、新年度のスタートを約1か月後に控えていながら、43%が「営業計画が決まっていない」と答えた。
また、「営業施策・見通し状況」について、「成果を出すための施策、道筋が見えているか」との問いに、「見えている」との回答は6%にとどまり、「少し見えている」(25%)を合わせても、視界が開けていると感じている人は約3割だった。
一方、「まったく見えていない」の20%と「あまり見えていない」の46%を合わせた66%の人は、視界不良を訴えた=下のグラフ参照。
営業職社員のあいだで営業計画を策定できない悩みが募り、視界不良を訴える声が高まっているのは、コロナ禍前までは緩やかに進んできた働き方改革が、コロナ禍で一転。スピードが速まり対応に戸惑っていることが原因とみられる。
調査したクラウドパートナーズでは、アンケートの「営業部内の課題」に対する質問に注目。「新規見込顧客が足りない」(34%)、「アポイントが取れない」(28%)という、従来からの営業課題のあとに「従来の営業方法そのものが通用しなくなってきている」という回答が21%で続いていることに注目した。
視界不良を訴える企業が多いのは、「コロナ禍で重視されるようになった非接触化への配慮が欠けているのではないか」と指摘する。
「勝ち筋の見えている営業は、すでに非対面営業で手がかりをつかんでおり、デジタル化を加速させている一方、見通しが見えていない約4割の層は、営業計画・施策立案のための情報収集が必要な状況となっています。また、調査結果の中には、訪問営業の減少傾向、営業のデジタル化を示す結果もみられます」
コロナ禍をめぐっては、2021年はワクチン接種などが進み新たな局面を迎える。クラウドパートナーズでは、「新しい施策によるテストマーケティングが、例年以上の注目される1年になる」と指摘している。