英タイムズ紙が放った「メーガン妃 いじめ隠蔽」疑惑が波紋を広げています。タイムズ紙と言えば英国を代表する老舗メディアですが、絶妙なタイミングで放たれた「内部告発スクープ」に、当の英王室がまさかの行動に出るなど、想像を超えた展開が繰り広げられています。
先日、待望の第二子妊娠を公表したばかりのメーガン妃ですが、お騒がせ度は増すばかり。英王室との関係は修復可能ラインをとっくに超えてしまっているようです。
メーガン妃のせいで、ケンジントン宮殿は大混乱だった
それにしても、今回のタイムズ紙の記事は、英国メディアの底力を見せつけるような見事なスクープです。イギリス王室から離脱したメーガン妃が、当時のスタッフをいじめて、2人を退職に追い込んでいたという衝撃的なニュースが報じられるやいなや、瞬く間に世界中に拡散されました。
Meghan accused of 'bullying royal staff'
(メーガン妃が「王室職員いじめ」で非難されている)
記事によると、メーガン妃のいじめが原因でスタッフが退職に追い込まれただけでなく、状況を見かねた別のスタッフが事情を王室上層部に報告しようとしたところ、夫であるハリー王子から「ことを荒立てないで欲しい」と懇願されてしまったとのこと。
メーガン妃のいじめが原因で、当時のハリー王子夫妻の周辺は「turmoil」(混乱状態)だったそうですが、王室上層部も「見て見ぬ振りをしていた」と、報じられています。
タイムズ紙の記事は、王室「元スタッフ」による「内部告発」がネタ元ですが、これに対してバッキンガム宮殿(英王室)が、驚きの声明を発表しました。なんと、英王室自ら、当時の「いじめ隠蔽疑惑」を調査するというのです!
Buckingham Palace to investigate allegations that Meghan bullied UK staff
(バッキンガム宮殿は、メーガン妃が王室スタッフをいじめていたという疑惑を調査する:米CNN)
investigate allegations:疑惑を調査する
これまで何度も話題にしてきましたが、英王室は海外メディア、とりわけ英メディアの格好の標的となってきました。信憑性については「玉石混合」ですが、かなり自由に王室ネタを報じるメディアに対して、比較的「無反応」を装ってきたのが英王室の「伝統芸」でした。
ところが今回ばかりは様子が違っています。タイムズ紙の記事に対して英王室が早々に「いじめ疑惑を調査する」と宣言したから、さあ、大変! 「なぜ、今回に限って王室はスルーしないのか?」「いじめは本当だったと認めたのか?」といった臆測が広がっています。
なぜ、このタイミングで「内部告発」されたのか?
異例中の異例とも言える「いじめ調査」の理由を、英王室は「very concerned」(とても憂慮)しており、「not tolerate bullying or harassment in the workplace」(職場でのいじめや嫌がらせを許さない)としていますが、この声明を文字どおり受け取っている人は少ないようです。
まず、疑わしいのが「絶妙」すぎるタイミングです。タイムズ紙によると、いじめが行われていたのは2018年のこと。当時は「隠蔽」されたとしても、なぜこのタイミングで「内部告発」したのか......。
告発した「元スタッフ」は、「メーガン妃夫妻が自分たちに都合が良いことばかりを語っている」ことや、ハリー王子を始めとする王宮スタッフの「いじめを隠そうとしたやり方」に危機感を抱いたことから、「タイムズ紙に接触してきた」とされています。
じつは、ハリー王子夫妻が王室離脱後初めてとなるインタビューがアメリカのテレビ局で放送される予定となっていて、注目を集めています。人気司会者のオプラ・ウィンフリー氏による2時間独占インタビュー特番で、2021年3月7日(米国時間)の放送前から、「かなり赤裸々な内容らしい」と話題になっています。
これまでさんざん、暴露本などで「好き勝手」に「言われ放題」だった英王室は、「もう、いいかげんにしろ!」と怒り心頭に違いありません! このタイミングで「元スタッフ」の証言が報じられたことに、「王室側の反撃だ」などと地元メディアが伝えていますが、確かに、 スクープ合戦に明け暮れるタブロイド紙ではなく、老舗タイムズ紙が舞台となっていることからも、「英王室陰謀説」はあながち間違いではなさそうです。
それでは、「今週のニュースな英語」は、「bully」(いじめ)に関わる表現を取り上げましょう。動詞でも名詞でもよく目にする単語です。
Do not bully a schoolmate.
(友達をいじめるな)
Do not bully the weak
(弱い者いじめをするな)
Beat up that bully
(あのいじめっ子をやっつけろ)
メーガン妃の広報担当者は、「いじめ隠蔽」報道は「完全に虚偽の話」だとの声明を発表しましたが、老舗メディアを巻き込んだ英王室との「戦い」は収まる気配がありません。
今回の英王室の「タイミング良すぎる対応」には、遠く離れた米国で好き勝手な行動に明け暮れるメーガン妃に対して、「あいつだけは絶対に許さない!」といった執念が潜んでいるようです。(井津川倫子)