財務の領域で日本の企業はロボットやAI(人工知能)を高く信頼しているが、導入は進んでいない――。
ソフトウエアのグローバル企業である米オラクルの日本法人、日本オラクルが2021年3月3日に発表した「財務における人とロボット・AIの関係」の調査でわかった。
日本の管理職の94%がAIを信頼
調査によると、日本の企業・団体の管理職の95%がコロナ禍の影響について憂慮している。項目別でみると、「低速な経済回復または景気後退」は62%、「予算縮減」が31%、「倒産」についても27%が懸念している結果が示された。
コロナ禍で増した懸念への対処については、日本の企業・団体の管理職の85%が、ロボット・AIが財務業務を改善できると期待を寄せる。具体的には、不正の検出(33%)や請求書の作成(27%)、コスト・利益の分析(18%)などだ。
日本の企業・団体の管理職のあいだでは、ロボット・AIに寄せる信頼度が高く、94%が「信頼する」と回答。調査を行った欧米や中国などの14か国の平均である77%を上回った。
日本オラクルによると、コロナ禍に見舞われた世界のビジネスシーンでは、財務管理において、AIなどの新しいテクノロジーを活用する可能性が高まっている。
たとえば、コロナ禍への対応としてデジタル決済機能に投資していると回答した企業・団体の管理職の割合は、グローバル調査の14か国平均では69%で、また、64%が新しい顧客エンゲージメントの方法を創出したと答えた。
これに対し、AIなどのテクノロジーに期待や信頼を寄せている日本では、コロナ禍への対応としてデジタル決済機能に投資しているとした回答は41%にとどまり、新しい顧客エンゲージメントの方法の創出では38%だった。
また、14か国の平均では、企業・団体の51%がすでにロボット・AIを活用して財務管理を行っていると回答しているが、日本では27%と14か国中最下位だった。日本企業では、財務管理においてロボット・AIを信頼している一方で、他の国々と比較して、実際の活用があまり進んでいないことがわかった。
なお調査は、米オラクル・コーポレーションが2020年11~12月、日本や米国、英国、ドイツ、オランダ、フランス、中国、インド、オーストラリア、ブラジル、アラブ首長国連邦、シンガポール、メキシコ、サウジアラビアの14か国を対象に、新型コロナウイルスの感染拡大による企業・団体や家庭の財務管理への影響調査を実施。日本からの500人を含む、一般消費者ビジネス関係者、約9000人が回答した。