福島原発事故による「内心被曝」とはいったい何だ?【東日本大震災から10年】

建築予定地やご希望の地域の工務店へ一括無料資料請求

「ほめ日記」が生きがいのおばあちゃん

   その他に、クリーニング会社の経営者として避難によって人口が減った中でも活路を見出した女性、自分をほめる「ほめ日記」を震災2年目から書き始めた農家のおばあちゃん、創業150年の魚屋がシャッター街になっていた駅前商店街で震災以来初めて「新築開店」した話が収められている。

「被災生活今日で1年10か月近くになる。留守の我が家に帰り、除草をし、一泊して帰る。よく頑張っておるね。体に気をつけ、くじけず頑張ろうね」

   南相馬市鹿島区の羽根田ヨシさん(当時83歳)が、雑誌「家の光」が募集した「あなたのほめ日記」に応募した羽根田さんのはがきだ。「ほめ日記」を推進しているNPO法人「自己尊重プラクティス協会」代表理事の手塚千砂子さんの目に留まり、同誌2013年8月号に掲載された。

「一見すると被害が少なく見える福島浜通りの人々の、目に見えぬ放射線に怯える毎日に目がいかなかったと痛感した」

   手塚さんは羽根田さんを訪ねて面会した。その後、全国各地の講演会場で、福島原発被害の実情を訴えるとともに、羽根田さんのことを話しているという。

   東日本大震災、福島原発事故から10年を迎え、多くの本が刊行されている。その中にあって、郷土に残りながら日々を耐えてきた人々の営みの記録は、勇気を与えてくれる1冊である。(渡辺淳悦)

「内心被曝 福島・原町の一〇年」
馬場マコト著
潮出版社
2500円(税別)

姉妹サイト