米アマゾンの倉庫は商品を探しにくい?
◆ 日本ではDXを、どのように定義しているのでしょうか?
経済産業省はデジタル トランスフォーメーションを「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」と定義しています。
参考リンク:経済産業省「デジタル トランスフォーメーションを推進するためのガイドライン(DX 推進ガイドライン)Ver1.0」
この定義からもわかると思いますが、単純にIT化するだけではないのです。要するに、IT化するのはもちろんですが、データとデジタル技術を活用して競争上の優位性を確立することの意味を含んでいることになります。
もっとわかりやすく説明するために、ECサービスを運営するテクノロジー企業の米Amazonの例をみてみましょう。
一般に、倉庫に荷物を入れる場合、荷物を探しやすいように似た商品を近くに保管します。しかし、Amazonではまったく関連性のない商品が隣にあるということが当然のようになされています。
理由は、たくさんの種類の商品を、ムダなスペースを作ることなく合理的に格納することができるからです。これはフリーロケーションという在庫の保管方法です。
なぜ、このような保管方法ができるかというと、商品を認識するコードと位置情報をデータ化して管理しているからです。商品を探す場合、商品の位置情報はデータ化し記憶されているので、探すのも簡単なのです。
さまざまな部分でこのようなDXを実現させていくことで、Amazonは競争上の優位性を確立し、世界でも有数な企業へと発展できたというわけです。
では、DXを進めると、企業がどのように変わるのか――。次回はDXを進めるメリットをお話したいと思います。