旅行最大手のJTBが中小企業になる! 資本金「23億円 → 1億円」に減資

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   旅行最大手のJTBが、資本金を現在の23億400万円から1億円に減資することがわかった。2021年2月15日付で、ホームページによる電子公告で公表した。12日の臨時株主総会で、すでに決議しており、3月31日付で実施する。

   新型コロナウイルスの感染拡大で国内外の旅行需要は激減。それによる業績悪化が続いており、減資で財務の健全化を図る目的があるとみられる。その一方で、資本金が1億円以下になると、税制上は「中小企業」の扱いになり、節税効果が期待できるというメリットが見込める。

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減資のメリットは「赤字補てん」と「節税」

   売上高で1兆円超、従業員もJTBグループ連結で約2万7000人(2020年3月31日現在)にのぼる、巨大な「中小企業」が誕生する。

   JTBは2020年9月中間連結決算で、最終利益が過去最悪の781億円の赤字(前年同期は43億円の黒字)。21年3月期の連結業績予想は経常利益のみの公表で、1000億円の赤字(前期は25億円の黒字)を見込んでいる。現状では、2度にわたる緊急事態宣言を含め、国内外での海外渡航の禁止や、外出や移動の自粛などが旅行会社の経営を痛めつけている。

   そこで、JTBがとった手段が「減資」だ。一般に、減資の目的は(1)累積赤字の補てん(2)節税――にある。

   「累積赤字の補てん」は、貸借対照表の資本金と繰越欠損金を相殺すること。繰越欠損金を減らして貸借対照表を整えることで会社の安定性(財務の健全性)を確保する狙いがある。

   もう一つが、「節税」。税法では、資本金の金額によって課税区分が異なり、課される税金の金額が変わる。その区分が資本金1億円超と資本金1億円以下の「境界線」だ。1億円以下になると、税法が定める大企業から中小企業になるため、税制上の優遇措置を受けられるなどの節税効果が見込める。

   たとえば、法人税率の軽減税率が適用になったり交際費が経費(損金扱い)になったり、欠損金の繰越控除の制限なくなったり、外形標準課税が適用されないなどの節税メリットが見込める。

   2015年にあったシャープの減資騒動は記憶に新しいところ。当時、経営再建中だったシャープが税制上の優遇措置を受ける狙いから、1200億円超あった資本金を1億円に減らそうとして批判を浴びた。その結果、シャープは計画の撤回に追い込まれた。

   JTBの場合、コロナ禍で先行き不透明感が強く、業績回復の兆しが見えないなか、減資による赤字補てんに加え、節税効果を得ながら経営の立て直しを図りたいところだ。

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