日本で2月の一大イベントと言えば、14日のバレンタインデー。ところがドイツではちょっと事情が違います。ケルン周辺に住む人たちにとって、今年の2月11日~17日は1年の中でも特別なキリスト教の行事、カーニバルにあたる時期でした。
この時期、カーニバルが盛んなケルンやデュッセルドルフなどでは、街中が賑やかなお祭ムードに包まれます。人々が仮装姿で飲んで歌って。クライマックスとなる月曜日には、200台以上の山車(だし)が、観客にお菓子を大量にばらまきながらパレードする――そう、そのはずだったのです。
カーニバル中止による経済的損失はおよそ1900憶円
しかし、今年は新型コロナウイルスの感染拡大のため、大規模イベントとなるカーニバルの開催は中止。通常であれば、月曜日がカーニバル休みとなる娘の幼稚園では、自宅で楽しめるようにと、おもちゃが入った贈り物が配布されることに。また、オンラインで人形劇によるパレードが配信されるなど、コロナ禍ならではのカーニバルとなりました。
例年のように国内外から観光客が集まることもなかったため、ホテルや交通機関、飲食店、衣装関連の小売店は大幅に収益を失うことに。ドイツの国民的ニュース番組「tagesschau」の報道によると、エコノミストの算出では、カーニバル中止による経済的損失は15億ユーロ(約1900憶円)にのぼるとされています。
来年こそ、と誰しもが期待を寄せたいところですが、この報道に寄せた飲食店オーナーのコメントを読むと、「元どおり」がいかに難しいかを実感させられます。
「いま欠けているのは、和気あいあいとした雰囲気。カーニバルとはそういうものだ。でも、人々は長い目で見て、混雑を避けるだろうし、控えめになるだろう」
度重なるイベントの中止、続くロックダウンのなか、新規感染者数は徐々に減少傾向に転じています。しかし、より感染力の強い変異株が広がっている状況をふまえ、感染者数のさらなる減少を図るため、バレンタインまでとされていたロックダウンの期間は3月7日まで延長されることになりました。
プライベートで集まれるのは、自分の世帯と他の世帯に属する最大1人まで、公共交通機関や店舗では医療用マスクを着用、会社は可能な限りホームオフィス(在宅勤務)を実施、必要不可欠ではない旅行は引き続き自粛......。こんな厳しい制限下での生活が続くこととなります。