五輪中止「島根の乱」!「頑張れ」と応援エール殺到 「注意する」と豪語したあの人に丸山知事の対応は......(2)

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「聖火リレーを中止する!」

   東京五輪開催に公然と反旗を翻した島根県の丸山達也知事(50)に共感のエールが広がっている。「♯頑張れ島根県知事」がツイッターでトレンド入りし、「島根の乱」という言葉まで生まれた。

   2021年2月25日、その丸山知事が直談判のために上京、関係省庁や国会議員などを回ったが、どこでもけんもほろろに近い扱いを受けた。しかし、丸山知事はぶれずに五輪開催の問題点を訴えて回ったのだった。

   なかでも注目されたのが、「知事を呼び出して注意する」と豪語していた「島根のドン」竹下亘・竹下派会長(74)との会談だったが......。

   丸山知事の「オトナの対応」に称賛の声が集まっている。

  • 東京オリンピックの聖火(東京五輪組織委員会公式サイトより)
    東京オリンピックの聖火(東京五輪組織委員会公式サイトより)
  • 東京オリンピックの聖火(東京五輪組織委員会公式サイトより)

「純粋」のあまり小池百合子都知事に「怨念」?

   それにしても、島根県の丸山達也知事はなぜ、「東京五輪開催」に激しく怒っているのだろうか。毎日新聞(2月26日付)「聖火リレー中止検討『死者ゼロ島根』の怒り」がこう伝える。まず、東京都の小池百合子知事への「怨念」があるよううだ。

「『私自身の力不足もあり...成果が出ていない。大変申し訳なく思っている』。2月17日、聖火リレー中止検討を表明した後の記者会見。心境を問われた丸山知事は涙ぐみ、声を詰まらせた。コロナ第3波以降、政府や東京都のコロナ対策を再三非難しても『無視』されてきたことを『わびた』のだ。小池都知事について『自分と大きな力の差を感じているが、この差を県民に及ぼしてはいけない』と感情をあらわにする場面もあった」
「丸山知事の人柄について、ある県幹部は『純粋』と評する。『しがらみが少なく、自分が与えられた権限を全部使って県民の命や生活を守るという信念がある。(聖火リレー中止検討は)なるべくしてなった。意外ではない』と語る」

   強固な保守王国の島根県。竹下登元首相と桜内義雄元衆院議長、「参院のドン」青木幹雄氏らが権勢をふるい、そのお眼鏡にかなう人物が知事になってきた。丸山氏は初の島根県外(福岡県)出身者で、しかも2019年の知事選では竹下亘氏ら地元保守本流が推す候補を破って当選した。

   その島根県で何が起きているのか――。島根県は、新型コロナの死者数が全国唯一ゼロで、感染者数も284人と3番目に少ない(いずれも2月24日現在)。それでも、感染を抑え込む自粛生活で街は深く傷ついている。毎日新聞が続ける。

「『風が吹けば飛ぶような店ばかりですよ』。松江市内隋一の夜の街・伊勢宮地区を歩くと、200メートル四方のこぢんまりした繁華街で、実に100軒以上が休廃業している。国は緊急事態宣言地域では時短要請に応じた飲食店に1日6万円の協力金を支給しているが、非宣言地域は対象外。自前の協力金を設ける自治体もあるが、島根県は財源不足で手を打てない」

   感染拡大を抑え込んでいるのは、自主的に時短に協力している飲食店主ら県民の努力が大きいのに、丸山知事はその県民に何もしてやれないばかりか、東京五輪の聖火リレーのために約9000万円もの予算を使わなければならないのだった。

   丸山知事の言動には、

「国の支援格差はあまりにも不公平だ」

ということを訴えるために、あえて聖火リレー中止を持ち出した「したたかな政治手法の計算」があると、毎日新聞は指摘するのである。

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