ネット広告が「マスコミ4媒体」に匹敵する規模に 2020年の広告費

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   インターネット広告が、テレビとラジオ、新聞、雑誌の「マスコミ4媒体」に匹敵する規模に成長したことが、電通の「日本の広告費 2020年」調査でわかった。を2021年2月25日の発表。ネット広告費は、2019年に初めてテレビを上回り話題になったが、2020年はコロナ禍の巣ごもり生活で生まれた需要の影響で、さらに伸びた。

  • コロナ禍に見舞われた2020年の広告費は、巣ごもり需要の影響でネットが拡大した
    コロナ禍に見舞われた2020年の広告費は、巣ごもり需要の影響でネットが拡大した
  • コロナ禍に見舞われた2020年の広告費は、巣ごもり需要の影響でネットが拡大した

マスコミ4媒体、ネットともに2兆2000億円規模

   「日本の広告費」は、「マスコミ4媒体」、「インターネット」のほか、屋外広告や交通広告、折り込み、ダイレクトメールなどの「プロモーションメディア」と、大きく3分類される。

   調査によると、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、外食や旅行関連業界をはじめ、広告クライアントである企業の業績悪化、イベントや販促キャンペーンの延期・中止に伴い、マスコミ4媒体とプロモーションメディアでの減少が大きく、国内の総広告費は減少。2020年は前年比11.2%減の6兆1594億円だった=上表参照

   前年比マイナスは、東日本大震災に見舞われた2011年以来9年ぶり、減少幅はリーマン・ショックの影響を受けた2009年(前年比11.5%減)に次ぐ規模だった。

   2020年のマスコミ4媒体の広告費は、前年比13.6%減の2兆2536億円。前年比マイナスは6年連続。19年の前年比3.4%減(2兆6094億円)から、下げ幅も大きく拡大した=下表参照

   「新聞広告費」(前年比18.9%減)、「雑誌広告費」(27%減)「ラジオ広告費」(15.4%減)、「テレビメディア広告費」(11%減)と4媒体とも、すべて大きく前年割れした。

   プロモーションメディア広告費は、前年比24.6%減の1兆6768億円。19年の前年比7.5%増(2兆2239億円)の好調から一転して冷え込んだ。各種イベントや従来型の広告販促キャンペーンの延期・中止に加え、外出や移動の自粛も影響して通年で減少した。特に「イベント・展示・映像ほか」「折り込み」などが大幅に減少した。

コロナ禍でもECなどの需要増で成長

   コロナ禍でECやネット注文によるフードデリバリーの需要が伸びたのと軌を一にして、インターネット広告費は前年比5.9%増の2兆2290億円と好調だった。

   1996年の調査を開始して以来、一貫して成長を継続。2019年に初めて2兆円を突破し、長らく首位に君臨していたテレビ広告費を抜いたが、20年は「マスコミ4媒体広告費」に匹敵する「2兆2000億円規模」の市場になった。電通によると2020年は、4~6月期に新型コロナの影響を受けたものの、自粛やテレワークの普及で巣ごもり需要が拡大し通年でECなどが堅調だった。

   さらに、マスコミ4媒体事業者が提供するインターネットサービスの広告費「マスコミ4媒体由来のデジタル広告費」(803億円、前年比12.3%増)や、生活家電や雑貨、書籍、衣類、事務用品などの物販を行うECサイトで出店者が投じた「物販系ECプラットフォーム広告費」(1321億円、同24.2%増)の2ケタ成長が全体をさらに押し上げた。

テレビは五輪など大型イベント延期・中止が痛手

   2019年に、ネット広告費に首位の座を奪われたテレビメディア広告費の2020年は、地上波、衛星メディア関連ともに振るわなかった。地上波テレビは前年比11.3%減の1兆5386億円。衛星メディア関連は同7.4%減の1173億円だった。

   電通によると、地上波の番組広告費は、東京オリンピック・パラリンピックや、サッカーW杯のアジア2次予選などの開催延期、プロ野球開幕延期、プロゴルフトーナメント中止・無観客での開催など、大型スポーツイベントの延期・中止と、広告主の業績不調による固定費削減の影響もあり、出稿が減った。

   スポット広告費は、4~6月期は、緊急事態宣言の影響もあり「官公庁・団体」を除くほぼすべての業種で大幅減。7~9月期も回復の兆しが見えつつも低調。10~12月期は経済活動の再開傾向が見られ「情報・通信」「自動車・関連品」が増加した。

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