ハンバーガーチェーン、モスバーガーを展開する株式会社モスフードサービス(東京都品川区)が、食パン市場に進出する。2021年2月18日の発表。
食パンをめぐっては10年ほど前から始まった高級製品ブームが続いており、新型コロナウイルスの感染拡大で高まった「巣ごもり」需要の影響でさらに加速しているという。モスの食パンは、コロナ禍で生まれたテイクアウト需要と「家でリッチな食を楽しむ」需要を取り込むのが狙い。
毎月第2、第4金曜に販売
モスフードサービスによると、販売は3月から。北海道、愛知県、岐阜県、三重県、沖縄県、離島を除く地域のモスバーガー約1000店舗に限定して、毎月第2、第4金曜日に販売する。家庭で週末に少し贅沢感がある朝食を彩ることを想定した。
予約・持ち帰り専用で、購入希望者は店舗に直接出向き、予約表に必要事項を記入して予約。最初の販売は3月12日。同日販売分は2月26日から予約受付を開始する。
商品名は、「バターなんていらないかも、と思わず声に出したくなるほど濃厚な食パン」。価格は600円(税込。1斤分=4枚切り)。特徴は、バターと卵を「たっぷり」使っていること。また、濃厚なコク味をだすための生クリームに加えて、さらに乳製品を配合し、より濃厚に、よりなめらかになっている。
また温度や湿度の管理にこだわる製法で、耳までしっとりと水分を含んだやわらかな触感に仕上げられているという。これらの特徴を伝えようと商品名がこれまでに例がないような長さになった。
バターがふんだんに使われているので、トーストして焼き立てをそのまま食べても、追加でバターを塗ってさらにリッチにしても風味を楽しめるという。
高級食パンのブームの火付け役は、コンビニエンスストア大手のセブン‐イレブンが2013年4月に発売した「金の食パン」とされる。スーパーやコンビニで販売される食パンはそれまで、プライベートブランド(PB)を中心に安価な製品が主流。とくにリーマン・ショック(2008年)後は100円を割るPB製品も投入されるなど低価格化傾向が顕著だったが、「金の食パン」のヒットで高級化がトレンドに。大手製パン会社も市場参入に名乗りを挙げ、近年は、1斤=1000円程度の「高級食パン」の専門店が各地にオープンしてブームは拡大している。
総務省の家計調査では、1世帯当たりの米に対する支出金額が年々減っているが、対照的に、パンの支出は増えている。2012年に1世帯当たりの米に対する支出金額は2万8731円で、パンは2万8282円とほぼ同額だったが、2018年には米が2万4314円、パンは3万554円になった。
パンの支出拡大、高級食パンブームの流れは、コロナ禍の影響で勢いを増しそうで、モスフードでは店舗網を生かして、新たな消費者ニーズを満たすことを狙う。