「恋バナがいつのまにか儲け話に...」
婚活やデートが目的の出会い系サイトやマッチングアプリなのに、相手から投資話や賭博を持ち掛けられ、大金を騙しとられるケースが急増している。
しかも、なぜか相手は「アジア系の異性」が多いのが特徴だ。国民生活センターが2021年2月18日、「恋バナをきっかけにした投資話にご注意を!」と、警告を発した。
マレーシア、香港、中国人になりすまして...
国民生活センターによると、被害の相談は2018年度が12件だったのが、19年度は25件、20年は12月31日までに58件と、倍々ペースで増えている。
似たような「出会い系サイト」を使った詐欺に「国際ロマンス詐欺」がある。こちらは男性を騙すために、生活に困っている「ロシア女性」や「東欧女性」などになりすます。女性を騙すためには、イラク滞在中に負傷して治療費に困っている「米軍兵士」や「英国人記者」などになりすます方法が使われる。同情を誘って送金させるのが、常とう手段だ。
だが、実際に逮捕されたのは、カメルーンやナイジェリア国籍などのグループだった。マッチングアプリに使っていた自分の「顔写真」は勝手にインターネットから切り取ったイケメンや美人の欧米系男女の写真を使っていたのだ。
今回の「恋バナ詐欺」では「アジア系の男女」になりすますケースが多いのが特徴だ。アジアには日本と違って経済が急成長している国々が多く、それらの国の人には「金儲けが得意」「投資に強い」というイメージがあるからのようだ。
何度かLINEなどでやりとりを繰り返し、仲が良くなった頃合いを見計らって「カネ儲けの話」を持ちかけて来る。投資方法には「仮想通貨」(暗号資産)や、海外では合法的な国も少なくない「賭博」がよく使われる。そして、被害者が躊躇していると、「愛」をチラつかせながら「私も半分出してあげるね」などと背中を押すのだ。
具体的な手口をみると――。
【事例1】海外の仮想通貨取引所でのFXを勧められ利益が出たが、少額しか出金できない
マッチングアプリで知り合った「中国人女性」に仮想通貨のFX(外国為替保証金取引)を勧められ、日本の暗号資産取引所で90万円分の暗号資産を購入し、海外の取引所に送付した。海外の取引所で仮想通貨をアメリカの仮想通貨に替えた際に少し利益が出た。少額を出金することはできたが、全額はできなかった。「中国人女性」とも連絡がつかなくなり、海外取引所にあった私の資産は既にほかの場所で引き出されたようだ。(2020年10月、20歳代男性)
【事例2】免許証の写しを送った相手に、投資のために振り込んだお金を返さないと訴えると言われた
出会い系サイトで知り合った「香港在住女性」と、無料通話アプリのIDを交換してやり取りしていると、投資に誘われた。入金するとお金が増えるという海外の投資アプリに登録した。日本の仮想通貨取引所から数万円を入金したところ、女性から「200万円入金すると10倍になる」と言われた。おかしいと思ったが、女性から「半分出してあげるから100万円入金して」と言われ、私の投資アプリの口座に100万円が送られてきた。
危険だと思い、すぐに無料通話アプリのIDをブロックした。しかし異なるIDから「私の100万円を返さないと訴える」と言われた。そして投資アプリ登録時に送った自分の免許証の写しを送り付けてきた。免許証の写しが悪用されないか心配だ。(2020年11月、40歳代男性)