ようやく日本でも医療従事者を対象にしたワクチンの接種が始まりました。国内で初めての感染者がでたのは2020年1月のこと。この記事を書いている2021年2月は、すでに1年以上経過していることになる。
周知のとおり、実態経済は業種によってバラつきはあるものの、大打撃を受けている。もちろん、日本だけでなく世界各国で似たような状況だ。
お金が市場に溢れると価値は薄まる!?
この1年、世界各国の政府や中央銀行は低迷する企業の資金繰りや雇用を下支えするために財政出動や金融緩和を行ってきた。たとえば日本銀行だと2020年12月末での総資産は702兆円となっており、1年前と比べて23%も増加している。主な内訳をみると、国債と貸出金の増加が大きく影響している。国債は政府が新型コロナウイルスへの対応で補正予算を組むため、短期国債を大量発行して日銀がこれを吸収したことによる。貸出金は企業の資金繰りを支援するために、積極的に増やしたことによる。こうしてどんどん流通するマネーが増えていくのだ。
ちなみに各国の中央銀行の総資産の増加率に着目すると、米連邦準備理事会(FRB)は7.3兆ドル(約750兆円)で77%増、欧州中央銀行(ECB)は49%増の7兆ユーロ(約880兆円)となっている。なんとも凄い金額だ。 市場に流通するマネーが増えることは、お金の価値が薄まることを意味する。つまり現金として持っていてはお金を実質的に減らしているのと同じことになる。 じつは、この本質的な意味を知っているか知っていないかで、ますます資産格差は広がる。