インバウンド向け...感染拡大の直撃受け倒産も
2021年2月17日から、国内のワクチン接種が始まり、コロナ禍の抑え込みへ具体的に動きだした。とはいえ、収入減などで高まった消費者の不安が収まるような状況ではなく、節約志向はなお続くとみられる。100円ショップは底堅い需要が見込めるとして出店攻勢を継続する意向。これまでのペースが続くと、21年度中には累計店舗数が8000店を超えるとみられる=下のグラフ参照。
帝国データバンクによると、節約志向を強めている消費者は一方で「少しいいモノ=プチぜいたく」のニーズが高まっており、この需要を満たす存在として300円ショップなど高価格帯の出店攻勢も盛ん。コロナ禍で生まれた需要をめぐり、100円ショップと300円ショップがともに出店攻勢を強め、ワンプライス業態全体の飽和感も強まっているという。
そうした中で起きたのが、全国的に知名度の高い300円ショップのミカヅキモモコ(三日月百子=大阪市)の経営破たんだ。同社の店舗では、100円ショップほどの品数はないものの、「おしゃれ」「かわいい」という付加価値をウリに業績を伸ばした。
顧客は若い女性やインバウンドが主で日用雑貨を数多くそろえる、他の300円ショップや100円ショップとは趣を異にしていた。外国人観光客の人気が高まった2018年1月期には売上高30億2400万円を計上した。
ところが、新型コロナウイルスの感染拡大でインバウンドが失速。学校の休校や外出自粛などで来客数が急降下。2021年2月8日に事業を停止し破産手続きを開始した。その後、法人在庫商品の買い取り、再流通を手掛ける株式会社shoichiが三日月百子からミカヅキモモコ事業の一部を譲受すると発表。店舗名を引き継いで運営していくことを明らかにした。
ミカヅキモモコの経営破たん綻は、コロナ禍では、それ以前にも増して、価格帯や立地、顧客層によって明暗が分かれることを示唆。帝国データバンクによると、ワンコイン業態の各社は、クオリティーやデザインの見直し、最新のトレンドや細かな需要をつかむ新商品の投入など、価格面以外の訴求力で顧客獲得に繋げられるよう戦略を練っている。