気になるのは山梨、ブラジル型変異株が拡散?
東京都の小池百合子知事は緊急事態宣言を3月7日まで延長した際、前週比が7割以下になれば、3月初旬には1日の新規感染者が140人以下まで減らせるとの見通しを示していた。
ところが、先週(2月15日以降)から減少幅が鈍化し始めた。週平均の感染者数が355.1人だった18日時点の前週比は76.3%、翌19日が84.7%、20日は91.6%と9割超に急上昇。21日は89.9%に下がったが、それでも都が目標とする7割を大きく超える。
東京都モニタリング会議の代表、都医師会の猪口正孝副会長は記者会見で、
「検査数が前週の7871人から6859人に減った。戦略的な検査になっていない。積極的な検査が、再上昇を防ぐ有効な作戦だ」
と訴えたのだった。
こうした事態に、専門家はどうみているのか。産経新聞(2月20日付)の取材に応じた濱田篤郎・東京医科大学教授は、こう指摘している。
「人口10万人あたりの新規感染者数は減少傾向にある。ただ、新規感染者の前週比を見ると、緊急事態宣言中の8都府県で上がっており、減少の動きが下げ止まっている。全入院者の病床使用率は東京や大阪などでステージ3に改善され、逼迫が解消されつつある。この流れを保つためにも、国民の感染対策徹底の踏ん張りが重要だ。気になるのは、山梨の感染経路不明の割合が58.8%と依然として高い点だ。ブラジル型変異株も確認されている地域なので、警戒を強めたい。総合的に見て、緊急事態宣言の解除は難しいだろう。第3波の完全な沈静化が目下の目標となる」
また、テレビ朝日(2月19日付)の取材に応じた松本哲哉・国際医療福祉大学教授はこう語った。
「かなり感染者数が減り、安心感が漂って人の出方が増えたことが(下げ止まりの)数値に出ている。まだまだ医療現場は厳しい状況にある。多くの専門家の共通した意見は、(東京都で)1日の感染者数100人ほど状態が1か月継続して出せれば、良いところまで持っていける。今のままではなかなか減らない。感染リスクが高い地域・集団に対して積極的に検査を広げて、感染者をもっと拾い上げる対策が必要になってくる。ワクチンがあれば感染が減っていく訳ではなく、さらなる増加がいつでも起こり得るという危機感を持っていたほうがいい」