マンション管理2法の改正で、「マンションは管理を買う」時代がやってきた!?(中山登志朗)

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法改正に対応、マンション共用部の情報公開が始まる

   しかし、こういったマンションの管理状況に関する情報は、購入希望者がかなり前向きに物件購入を検討している段階に至って初めて、買主の要望を受けて売主側に情報提供を求めるケースがほとんどです。つまり、マンション共用部の管理状況に関する情報は、当事者である管理組合のメンバー=所有者と管理会社など一部の関係者だけが知る"非公開情報"であり、積極的に公開される類の情報ではないのです。

   管理状況に関する情報を関係者だけに留めおくのには理由があります。例えば日常の点検などで共用部に不具合が見つかったり、所有者のなかに管理費や修繕積立金を滞納する者がいたりとネガティブな情報を含む可能性があるからです。設備に不具合が見つかっても修繕積立金が潤沢であれば直ちに修理して元の状態に戻すことができますが、そうでない場合もしくは高額な修理費用が発生する場合は当面そのままということもありますから、こういった情報を公にすることは(ポジティブな情報も含めて)なかったのです。

   やや宣伝ぽくなりますが、筆者が所属するLIFULL HOME'Sはこういったマンションの管理状況を専有部分である住戸と同じように事前情報として把握できるサービス、「LIFULL HOME'Sマンション管理評価」を2月上旬から開始しました。一般社団法人日本マンション管理士会連合会と提携し、これまで全国のマンション管理士が委託を受けて調査したマンション共用部のメンテナンス状況や管理組合運営状況などの診断結果を一定の基準で評価したうえ、12項目に渡ってその根拠をわかりやすく示すものです。

   もちろん、管理組合の掲載許可を得ています。管理状況が良いとアピールしたいマンションを紹介することができるサービスですから、住戸を購入候補として検討する際に、重要な付随情報として簡単に確認してもらうことができます。もちろん他にはない日本初の情報公開です。マンション購入に際しては専有部だけでなく、共用部の情報も必ず確認してください。(中山登志朗)

中山 登志朗(なかやま・としあき)
中山 登志朗(なかやま・としあき)
LIFULL HOME’S総研 副所長・チーフアナリスト
出版社を経て、不動産調査会社で不動産マーケットの調査・分析を担当。不動産市況分析の専門家として、テレビや新聞・雑誌、ウェブサイトなどで、コメントの提供や出演、寄稿するほか、不動産市況セミナーなどで数多く講演している。
2014年9月から現職。国土交通省、経済産業省、東京都ほかの審議会委員などを歴任する。
主な著書に「住宅購入のための資産価値ハンドブック」(ダイヤモンド社)、「沿線格差~首都圏鉄道路線の知られざる通信簿」(SB新書)などがある。
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