菅義偉政権の目玉政策である携帯電話料金の値下げ競争も、ついにここまでか......。
ソフトバンクが2021年2月18日、新料金プラン「LINEMO」(ラインモ)を発表したが、新鮮みがなく、大手3社の横並びの結果に終わった。
ソフトバンクにとって今回の発表は、2度目の「後出しジャンケン」だ。ネット上では、
「2度目の後出しなら100円くらい安くしてもよさそうなのに、結局大手3社の協調値下げを崩せないのか」
と失望が広がっている。
「良いものは取り入れ、悪いものは反省する」と2度追随
ソフトバンクの公式サイトによると、新料金プランの名称は「LINEMO」(ラインモ)。オンライン専用の手続きで、3月17日からサービスを提供する。データ容量は月20GB(ギガバイト)で、1回5分までの無料通話を切り離して、当初より500円引き下げて月額2480円(税抜き、以下も同じ)にする。
これは、今年1月にKDDI(au)が発表した無料通話分を含まない月額2480円の「povo」(ポヴォ)と同じ設計で、料金も同額だ。ソフトバンクは2020年12月に新料金プラン「SoftBank on LINE」(今年3月スタート予定)を発表していた。1回5分以内の「通話かけ放題」を基本料金に含み、月額2980円とした。これは、先行して発表したNTTドコモの「ahamo」(アハモ)と同じ設計で、料金も同額だった。通信アプリのLINEと組んで提供。LINEアプリはデータフリーという点に独自性を出していた。
今回の「LINEMO」は、この昨年発表した「SoftBank on LINE」の変更だ。ただし、かけ放題つき料金も残す。つまり、最初はドコモの「ahamo」に追随して、今度はKDDI (au)の「povo」に追随したわけで、2度にわたって「後出しジャンケン」をしたことになる。
2月18日のオンライン記者会見で、新料金プランを発表したソフトバンクの寺尾洋幸常務執行役員は、この点を記者たちから突かれた。
「(設計や料金が)KDDI(au)の『povo』と同じになった。通話料金の設定も含めるとドコモの『ahamo』とも同じ額だ。『LINEMO』の差別化の要素は何か?」
と聞かれると、寺尾常務はこう答えたのだった。
「昨年12月の公表後、『LINEが使い放題なら無料通話分の料金は不要だ』という声があった。やはりLINEとのシナジー(相乗効果)になる。8600万人が毎日使うLINEを、もっと使いやすく、もっと驚きを提供する。LINEをもっと使いやすくすることが一番の差別化になる」
そして、記者の「『povo』を意識して、かなり寄せている印象だが...」という厳しい質問には、こう答えたのだった。
「お客様が求めてこられるものなら改善していくのが使命だ。良いものは取り入れて、悪いものは反省したい」
いずれにしろ、これで大手3社の携帯料金は横並びになったことになる。通話料金(1回5分以内かけ放題)を含めないKDDI(au)とソフトバンクが月額2480円と、通話料金を含めるドコモの月額2980円より500円安いが、通話料金500円を含めると、3社はまったく同じ月額2980円になるわけだ。