東京五輪・パラリンピック組織委員会は2021年2月18日、女性差別発言で会長を辞任した森喜朗氏(83)の後任に橋本聖子氏(56)を選出した。「密室人事」と猛批判を浴びながら、理事会では異論一つ出ずにあっけなく決まった。
しかし、早くも海外メディアは橋本聖子氏がフィギュアの高橋大輔選手に「無理チュー」をしたセクハラ事件を取り上げている。
また、「森の娘」と自認するほどのベッタリの仲の森喜朗氏の「院政」を心配する声もある。大丈夫か、橋本聖子新会長?
森喜朗氏とは「私の娘」「父です」という仲
新会長の橋本聖子氏が抱える問題点は「セクハラ」だけではない。「森の娘」と呼ばれるほど森喜朗会長とベッタリの関係にあり、橋本会長の五輪組織委は実質的に森氏の「院政」になるのではないか、と言われていることだ。
毎日新聞(2月18日付)「橋本氏に一本化 五輪組織委会長候補、浮かんでは消え」が、こう伝える。
「(橋本氏には懸念材料が二つあった)2014年、フィギュア男子選手にキスを強要したと週刊誌で報じられた。橋本氏は『強制した事実はない』と釈明したが、国際競技団体幹部は『ハラスメントに厳しい海外では一発アウト。IOCは歓迎しない』と語る。また橋本氏の所属する細田派は森氏の出身派閥だ。橋本氏は五輪担当相として初入閣した2019年9月、組織委に森氏を訪問。森氏が報道陣の前で『娘だと思っている』と語れば、橋本氏も『父なんです』と笑顔で返した。親密さは広く知られており、橋本氏が後任なら、森氏の影響が残るとして敬遠する声もあった」
竹下亘氏の暴言「スケート界では男みたいな性格」
さて、「セクハラ爆弾」と「森喜朗の傀儡批判」。橋本氏はこの2つをどうクリアしていくのか。早くも2月18日、「セクハラ爆弾」について背中から矢を打たれるような珍事が起こった。自民党竹下派会長の竹下亘元総務会長が「問題発言」をしたのである。
朝日新聞(2月18日付)によると、橋本氏の「セクハラ問題」を心配したのだろう。竹下亘氏は党本部での派閥会合後、記者団にこう述べた。
「(橋本氏は)スケート界では男みたいな性格、ハグなんて当たり前の世界だ。セクハラと言われたらかわいそう。別にセクハラと思ってやっているわけではなく、当たり前の世界である。我々とも簡単にハグ。普通はなかなかしないですよ、我々も。でも簡単にこの人とはハグができる」
と述べたのだ。
この「男みたいな性格」「ハグ」という言葉がSNS上で大炎上した。竹下氏は橋本氏の「セクハラ」で何が問題になっているのか、まったく理解していないようだ。この発言の後、竹下氏の事務所が報道各社に「正確には『男勝り』と言いたかったのです」と連絡に回り、発言を訂正した。
しかし、「男みたいな性格」を「男勝り」と訂正して何の意味があるのだろうか。
(福田和郎)