コロナ禍も逆風にならず...... あらゆるモノをサービス化する「XaaS」

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   「出かけるときは忘れずに...」。かつて、クレジットカードのCMに使われたフレーズだ。いまならスマートフォンのことになるのだろう。何をするにもインターネットが必要な現代。高速・大容量が可能な通信でドラマや映画、スポーツ中継を楽しみ、食事も買い物もネット経由の宅配か通販が幅を利かせている。

   そしてIoT(モノのインターネット)の登場で、工業製品、製造設備、インテリジェントビル、都市インフラなど、あらゆるものがネットと常時接続して、スマホ一つで管理できたり、利用できたりするようになった。

「XaaS[ザース]の衝撃 すべてがサービス化する」(日経産業新聞編)日本経済新聞出版
  • XaaSの代表例がMaaS。自動運転バスはその核となる試みの一つだ
    XaaSの代表例がMaaS。自動運転バスはその核となる試みの一つだ
  • XaaSの代表例がMaaS。自動運転バスはその核となる試みの一つだ

未知なものを表す「X」+「aaS」

   本書「XaaS[ザース]の衝撃 すべてがサービス化する」は、そうした現代を分析して、こう述べる。

「IoTの台頭がモノやものづくり自体より、それらからネット経由で得られる大量のデータを活用したシェアリングなどのサービス開発や効率改善の仕組みの方により高い価値を置くという、序列の逆転を生み出す。『第4次産業革命』などとも称される動きで、ネットがもたらした革命は間違いなく、IoTにより新たなステージにあがったといえる」

   近年、「サービスとしての〇×△」=「〇×△ as a Service」や、〇×△の最初の文字「〇」と「as a Service」の略である「aaS」を組み合わせた「〇aaS」という表現がしばしば用いられる。

   本書の「XaaS」の「X」は、「Xデー」「惑星X」「謎の物体X」など、未知なものを表すとき使われるのと同じ用法のよう。モノからサービス、所有から利用へと向かう可能性を秘めた製品や産業を探ったのが本書の内容だ。

   2019年4月から2020年3月にかけて日経産業新聞に連載した「XaaSの衝撃」および、新型コロナ流行で起きた情勢変化を踏まえた補編「XaaSの衝撃ウィズコロナ」を加筆訂正したものに加筆してまとめた。

   「XaaS」の代表例といえば「MaaS(マース)」だろう。移動(Mobility=モビリティ)」をサービス化するもので、自動車会社や鉄道会社などが取り組みを続けている。「XaaS」の潮流はこれまで年を追って強まってきたが、新型コロナウイルスの世界的流行は、感染防止対策で移動を避けることが意識されるようになり、MaaSにとっては逆風になるのでは、と懸念されていた。

   ところが、そうした懸念は杞憂だったようで、いち早く変化に適応したサービスへと進化させる動きが始まった。

   たとえば、羽田や成田など空港への送迎配車を手がけるスタートアップ企業のNearMe(ニアミー)。コロナ禍による航空利用の急減を受け、新たに立ち上げたのは、通勤専用の相乗り配車サービス「ニアミーコミュ―ト」だ。

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