なぜドラッグストアは一人勝ちできたのか?

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   日本のドラッグストアの市場規模は約7兆6859億円(2019年度、日本チェーンドラッグストア協会調べ)だという。ドラッグストアの店舗数は全国2万店を突破し、コンビニエンスストアの5万8000店に次いで店舗の多い業態である。

   昭和の頃は薬局・薬店に過ぎなかったドラッグストアは、1990年代に成長。平成後期の10年間に急成長を遂げた。その秘密を探ったのが、本書「ドラッグストア拡大史」である。「なぜ、あれほど安売りができるのか?」

「近所に同じチェーンの店が複数あるのか?」

といった疑問に答えてくれる。

「ドラッグストア拡大史」(日野眞克著)イースト・プレス
  • ドラッグストアは平成後期に急成長を遂げた(写真はイメージ)
    ドラッグストアは平成後期に急成長を遂げた(写真はイメージ)
  • ドラッグストアは平成後期に急成長を遂げた(写真はイメージ)

「マツモトキヨシ」が革命を起こした

   著者の日野眞克さんは、ニュー・フォーマット研究所代表取締役、「月刊マーチャンダイジング」主幹。専門誌の記者を辞め、1997年に同誌を個人で創刊。当時、急成長していたドラッグストアの経営者が応援してくれ、部数が増えていったという。

   日野さんが重視したのは、売上高よりも「ROA(総資産利益率)」という数値。ドラッグストアという新しい業態の理論的かつ技術的なバックボーンになった、と自負している。ドラッグストア企業の収益率は他の業態に比べて極めて高いのだ。

   ダイエーなど小売業の王様だった総合スーパーが経営破たんしたり凋落したりした一方、一番遅く登場し、急成長したドラッグストアの歴史を3期にわけて解説している。

   第一次成長期は1980年代後半から90年代半ばだ。「マツモトキヨシ」による都市型ドラッグストアが革命を起こした、と書いている。昭和7(1932)年創業の個人経営の「松本薬舗」に始まり、87年に開店した「マツモトキヨシ 上野アメ横店」の爆発的なヒットが飛躍の大きなきっかけになった。

   薬局・薬店の殻を破り、医薬品だけでなく、化粧品を中心としたビューティーケア商品、バラエティ雑貨を幅広く品揃えしたのが若い女性を中心に支持された。病気になったときにしか行かない店だった薬局・薬店のイメージを変えた。

   95年には売上高が1000億円を突破し、ドラッグストア業界のトップになった。2009年には売上高約3920億円と、第2位の「スギホールディングス」の約2720億円よりも1000億円以上も売り上げが大きく、ナンバーワン企業として君臨していた。

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