いったい東京五輪・パラリンピックは開催できるのか――。IOC(国際オリンピック委員会)が判断時期としていた3月上旬が迫っているが、「女性差別発言」騒ぎで東京五輪のトップの座が空白という異常事態が続いている。
そんななか、東京商工リサーチが、国内企業を対象に開催に賛成か反対かを聞いたアンケート調査を、2021年2月15日に発表した。当初の予定通りの開催を望む企業は7.7%しかいなかったが、「無観客」などの条件付も含めると開催に賛成する企業が44%に達した。
開催に「反対派」は56%ということだが、この数字をどう見るか。ネットの意見は大きくわかれた。
「開催反対」大企業より中小企業にやや多く
東京商工リサーチの「東京五輪・パラリンピックに関するアンケート調査」は、2020年8月に発表した同じ内容の質問の調査に続く2回目。調査は21年2月1日~8日に、全国の企業にアンケートを実施。1万1432社から有効回答を得た。
東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗前会長の「女性差別発言」が報道されたのは調査期間後半の2月5日で、辞任は調査終了後の12日だから、「森問題」のゴタゴタはあまり反映されていない可能性がある。
調査によると、「予定通りの開催」を求める声は7.7%にとどまり、前回調査(2020年8月)の22.5%から14.8ポイント下落した。「観客席を間引いて開催」は19.3%(前回18.4%)、「無観客開催」は16.8%(同5.3%)で、条件付き開催と合わせても「今夏の開催」は43.9%(同46.3%)と半数に満たなかった。
一方、「中止」(22.9%)と「開催延期」(33.0%)は合計56.0%(前回53.6%)で、前回調査を2.4ポイント上回り、今夏の開催に6割近くが反対する結果となった=図1参照。
企業の規模別にみると、大企業(資本金1億円以上)で、今夏の開催に否定的な見方(中止+開催延期)は52.9%、中小企業(資本金1億円未満、個人企業など)は56.5%となり、中小企業のほうに「開催反対論」の声が高かった。